サステナ経営塾2025: [人的資本経営とガバナンス] 株式会社Future Vision 大喜多一範・代表取締役 講義

記事のポイント


  1. サステナ経営塾21期下期にFuture Visionの大喜多一範・代表取締役が登壇
  2. ​人材を「資本」と捉え、企業価値を高める人的資本経営の要諦を説いた
  3. 多様性は不確実な未来への防衛策であり、経営戦略と人材戦略の連動が不可欠だ

オルタナは1月21日、サステナ経営塾21期下期第4回を開いた。第2講にはFuture Visionの大喜多一範・代表取締役が登壇し、「人的資本経営とガバナンス」と題して講義した。講義の要旨をまとめた。

Future Visionの大喜多代表は、投資家と対話する際には、企業戦略と人材戦略の整合性を示すことが重要だと語った

・人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営手法である。

・人的資本が「将来のキャッシュフローのドライバー」として企業経営において評価されることを指摘した。人材への教育や研修投資が、単なるコスト管理ではなく、企業の「中長期的な価値向上」につながる先行投資として位置づけられるべきだと説明した。

・具体的には、人的資本への投資によって、将来的なキャッシュフローの増加や利益の押し上げが期待できるとし、従来の「人的資源」の管理のみならず「人的資本」への戦略的な投資の必要性を強調した。

・経営戦略を実現するためには、経済産業省の「人材版伊藤レポート2.0」が提唱する「3つの視点(「経営戦略と人材戦略の連動」「As is-To beギャップの定量把握」「企業文化への定着」)の活用が重要となる。これとあわせて、具体的な実行項目として「5つの共通要素(「動的な人材ポートフォリオ」「知・経験のD&I」「リスキル・学び直し」「従業員エンゲージメント」「時間や場所に捉われない働き方」)を自社の課題に照らして検討し、人材戦略を具体化させることが求められる。

・講義では、ダイバーシティ(多様性)の重要性についてワークショップを通じて解説した。同じような視点を持つ集団では問題の全体像を把握できず、未知のリスクを見落とす「盲点」が生じる。多様な視点を持つことは、将来の不確実性に対応するための戦略的な防衛策となるのだ。

・現在の日本企業において「人材流出と人材不足」が最重要の経営リスクの一つである。エンゲージメント調査の分析を通じて、特に「理念や方針の理解」が従業員の役割認識とワーク・エンゲージメントに大きな影響を与えることを強調した。

・具体的には、経営の理念や方針を従業員が十分に理解することで、役割認識が上昇し、結果としてワーク・エンゲージメントと組織へのコミットメントが高まることを示した。

・人的資本経営とガバナンスは、企業の成長と価値向上において不可分の関係にある。ガバナンスの役割は、人的資本への投資や育成方針を監督し、ステークホルダーに対する説明責任を果たすことにある。

・投資家が求めているのは単なる人事施策の羅列ではなく、「人事戦略がいかに企業価値向上につながるか」というストーリーである。賃金や人材戦略に関する開示において、金額の多寡だけでなく、それがどのような影響を与えているかを示す指標が重要だ。企業戦略と人材戦略の整合性を示し、投資家との対話を深めることの重要性を説明した。

・2026年3月期から有価証券報告書のサステナビリティ項目に追加拡充される人的資本開示は、企業の成長可能性(将来の稼ぐ力)を判断する材料を増やす狙いがあると解説した。

susbuin

サステナ経営塾

株式会社オルタナは2011年にサステナビリティ・CSRを学ぶ「CSR部員塾」を発足しました。その後、「サステナビリティ部員塾」に改称し、2023年度から「サステナ経営塾」として新たにスタートします。2011年以来、これまで延べ約700社900人の方に受講していただきました。上期はサステナビリティ/ESG初任者向けに基本的な知識を伝授します。下期はサステナビリティ/ESG実務担当者として必要な実践的知識やノウハウを伝授します。サステナ経営塾公式HPはこちら

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