企業トップ自らジェンダー平等の推進を(続)【ダイバーシティとジェンダー】

大西祥世
グローバル・コンパクト研究センター研究員
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大西 祥世(グローバル・コンパクト研究センター研究員)

前号は、トップのリーダーシップで人事考課の基準を変えた大企業の例をご紹介しました。今回は、中小企業の具体例を紹介します。

東京都大田区にヱビナ電化工業(株) があります。同社は、1946年創立のめっき業の会社です。従業員は100 人で男女比はほぼ半々です。

同社は、2000 年から、当時のトップ(先代社長、男性)の「技術者集団によるビジネス展開」というビジョンに沿って採用方針を「二流の男よりも、一流の女」に転換して、大企業の採用で門前払いされる技術系の女子学生を積極的に採用しました。さらに、女性の技術者が働きやすく、定着するように、トイレ、食堂、休憩室をきれいに改造しました。

それでもなお、女性の従業員は30 歳前後に離職する人が多かったためその理由を本人たちに聞いたところ、大企業に勤める夫の転勤についていくため、ということでした。そこで、トップの方針として、そうした女性の技術者には夫よりも高い給与を出すようにしました。その結果、むしろ夫が転職を選ぶようになり、女性の従業員の定着率が高まりました。

同社の方針は、2009 年にトップが現社長(男性)に交代してからも継続・発展しています。今では優秀な技術者を多く抱える優良企業という高い評価を得て、経営も順調です。

千葉県大網白里にある大里綜合管理(株)は、1975 年創立の不動産売買と管理業の会社です。従業員は30 人で、男女半々です。同社は充実した従業員の子育て支援策がよく知られていますが、それだけにとどまりません。

同社は、トップ(2代目、女性)の経営方針として、従業員の仕事は「業務6割、地域貢献4割」でよいとしています。

そして、地元の地域を中心に約250の地域貢献事業を展開しています。同社の地域貢献事業は、住民が地域の課題と感じたことを住民自身が主人公となって解決することを会社がお手伝いする、というトップの方針が貫かれています。

詳しくは連載の後半でも取り上げますが、例えば、従業員の子どもが会社内で遊ぶのを認めたのがきっかけで近所の子どもも来る社屋内学童保育を立ち上げました。子どもたちの安全のため、社内は整理整頓が行き届いています。

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大西祥世
グローバル・コンパクト研究センター研究員
博士(法学)専門は憲法、ジェンダーと法・政策。主著に『女性と憲法の構造』(信山社、2006 年)『ポジティブ・アクションによる女性のエンパワメントと平等推進―国連グローバル・コンパクトの新たなチャレンジ』(法學志林109 巻1 号、2011 年)『グローバル化における企業の公法上の位置づけ』(公法研究74 号、2012 年)など。

2014年7月9日(水)12:26

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