バリューチェーンを人権の視点で見直す【サステナビリティ・ウォッチ】

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今中 由希子(株式会社イースクエア コンサルティンググループ アソシエイト)

「人権」は、ISO26000(組織の社会的責任に関する国際規格)において、7つの原則及び7 つの中核主題の両方に掲げられる最重要項目の一つである。また、2011 年6 月に国連人権理事会で採択された「ビジネスと人権に関する指導原則」では、すべての企業は人権を尊重し、人権デューディリジェンスを実施することが求められている。

人権デューディリジェンスとは、人権侵害を未然に防ぐための仕組みである。具体的には、人権尊重の「方針」を立てたうえで、潜在的な人権侵害がどこで起こりえるのか、どのように対処しなくてはならないのかを特定するための「評価」、自社のオペレーションに人権尊重を組み込む「統合とパフォーマンスの追跡」、人権侵害が起きてしまった際に被害者がアクセスできる「救済」の仕組みを、組織として整えることが求められている。

企業が人権尊重に取り組む理由として、「リスクの軽減」と「機会の獲得」の両面がある。代表的なリスクとしては、人権課題(賃金、差別)を理由にしたストライキや訴訟のコスト、NGO など市民社会からの評判リスク、政府からの操業許可取り消し、投資家の投資引き揚げなどがある。また、機会の獲得(メリット)としては、人権尊重を条件とする政府調達への対応やサプライヤー・取引先の拡大、自社に誇りや魅力を感じる優秀な人材の採用や確保が挙げられる。

人権課題をセクハラやパワハラなどの狭い意味でしか扱っていない日本企業は少なくない。企業にとっての人権課題は、労働関連課題の労働安全、雇用条件、差別、結社の自由や、児童労働・強制労働以外に、プライバシー、苦情対応、プロダクト・スチュワードシップ、サプライヤーへの要請、コミュニティへの影響、カントリー・リスク、土地の管理、警備など企業活動に関係する様々な課題との関連性を持つ。

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2014年7月30日(水)10:31

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