企業とトレーラーハウス宿泊村【CSRフロンティア】

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原田 勝広(明治学院大学教授)

宮城県女川町の町営住宅跡地に、旅館経営者が協力して、トレーラーハウスによる宿泊村「エルファロ」をオープンさせるというので訪ねた。水色やピンクなど色鮮やかに並んだ南欧風のトレーラーハウスは32台。部屋数は64室となり、風呂、トイレ、ベッド、テレビを完備している。1人1泊6300円(朝食付き)。災害危険区域内とあって、本来なら宿泊施設の建設はできない規則だが、トレーラーハウスは移動可能とあって特別に許可が下りたという。設置が簡単で移動が自由とあれば復興住宅にはぴったり。トレーラーハウスのメーカーはカンバーランド(長野市)だが、なかなかのアイデアである。企業の力が産業復興に貢献している。

宿泊村には民間ファンドの東北共益投資基金も資金を拠出している。一般の金融機関とマイクロファイナンス(小口金融)の中間的金融といえる。津波で工場や設備を失い、大きな債務を抱えて金融機関から新規融資を受けられない人たちにとって、これほどありがたい存在もないだろう。国内災害支援に取り組んでいるNPO シビックフォースに寄せられた寄付金を基に設立されただけに、被災地コミュニティの再生を意識した極めて社会貢献性の高いファンドになっている。

女川の灯火が日本を照らす

宿泊村のオープニング・パーティでは、経営主体の女川宿泊村協同組合理事長を務める佐々木里子さん(44)があいさつに立った。震災前は旅館「奈々美や」を経営していたが、津波で両親を旅館ともども失った。悲しみのあまり、一時は落ち込んで痛々しいほどやつれていたという。しかし、4人の子どもたちの励ましもあり見事に立ち直った。

「エルファロはスペイン語で灯台のことです。再建のメドさえ立たないなかで、日本中の多くの方々の支援や応援という『灯火』に導かれ、今日のオープンを迎えることができました」と切り出したきり、涙で言葉が続かない。会場に駆け付けた人たちの手拍子に励まされ、佐々木さんは再び語り始めた。「次は、私たちが女川町を、東北の被災地を、そして、日本を照らしていきたい」。

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2014年8月19日(火)11:45

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