日本経済新聞が主催する日経ソーシャルイニシアチブ大賞が発表された。2013年に続く2回目だが、結果は以下の通りで前回とは少し違う印象を受ける。
【大 賞】 NPO法人えがおつなげて
【国内部門賞】NPO法人マドレボニータ
【国際部門賞】NPO法人コペルニク
【企業部門賞】ユニチャーム株式会社
【東北部門賞】NPO法人カタリバ
2013年次は初回ということもあり、評価の定着した社会起業家が脚光を浴び、駒崎弘樹さんのフローレンス、川添高志さんのケアプロ、小暮真久さんのテーブル・フォー・ツーインターナショナル(TFT)などが受賞した。メディアで取り上げられることの多いこうした人たちは、ボランティアや慈善という枠を越えてビジネスの手法で社会課題に挑み、日本社会にイノベーションを起こした。若者に与えた影響という点からみても大きな貢献をしたことは間違いない。
こうした流れを引き継ぎつつ、2014年、日経が意図したのは、企業をいかに巻き込むかであった。ひとつの活動やプロジェクトの社会的なインパクトを考えたとき、その規模、継続性からみて企業の力は圧倒的である。国連などは10 年以上前からそのことに気付き、グローバル・コンパクトやミレニアム開発目標(MDGs)で企業との連携を強化してきた。ところが、肝心の企業の方ではCSR 部門を大事にしてこなかったようにみえるのは残念である。
■ポーター教授のCSV 理論が一石投じる
そんな中、企業にショックを与えたのが経営戦略論の大御所、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が提唱したCSV(Creating Shared Value /共通価値創造)という考え方だ。
「企業と社会は必ずしも対立的なものではない。社会にとって利益となる事柄は企業にとっても経済的価値を生むはず」として、社会的価値と経済的価値を両立したこのCSV 理論は、「本業での貢献」を目指す日本の企業文化にぴったりだった。
BOP ビジネスもソーシャルビジネスも、国連の提唱するインクルーシブビジネスもCSV に含まれる。日経が今回、初めて企業部門を設けたのは、CSV、そしてCSR に光を当てたいとの狙いがあったように思う。