「バリューチェーンのCSV」による農業の再生【世界を変えるCSV戦略】

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水上 武彦(株式会社クレアン)

CSVの元祖と言えば、ネスレです。2005年には、既にCSVのコンセプトをレポートで発表しています。そのネスレのCSV活動として最も有名なのが、バリューチェーンのCSVの一つである「サプライヤーの育成」です。バリューチェーンのCSVは、製品・サービスを生み出す事業プロセスを通じて社会問題を解決しつつ企業の競争力を強化するものです。「サプライヤーの育成」は、事業プロセスとしてのサプライヤーからの調達活動を通じてこれを実践するものです。

ネスレは、サプライヤーである原材料農家が抱える社会問題を解決するための支援を行い、一方で高品質原料の安定調達を実現しています。例えば、プレミアム・コーヒー用の豆の調達に関して、コーヒー農家に栽培技術・ノウハウを提供するほか、銀行融資の保証や、苗木、農薬、肥料の確保などの支援を行っています。

この背景には、ほとんどのコーヒー豆は、アフリカや中南米の貧困地域の零細農家が栽培しており、低い生産性、劣悪な作業環境の中で、ネスレが求める品質のコーヒー豆の調達が難しいという現実があります。

そうした現実を踏まえ、ネスレは、自らがコーヒー農家を支援・育成することを通じて、高品質な豆の安定調達を実現しています。

途上国におけるミルクの調達に関しても、冷蔵設備を供えたミルク集荷所の設置、獣医、栄養士、農地管理士によるアドバイス、家畜に対する医薬品・栄養剤投与、毎月の農民への研修、ミルクの品質に影響する飼料の質を高めるための灌漑の改善支援など、非常に幅広くサプライヤーを支援しています。

これにより、途上国におけるミルクの品質と安定調達を確保し、地域支援によるミルク需要の創造も併せ、途上国でのビジネス展開を効果的に進めています。サプライヤーの支援は、途上国市場を開拓するために必要な投資と考えられているのです。

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2014年8月18日(月)12:00

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