「五箇条の御誓文」こそがCSR の基本的考え方【戦略経営としてのCSR】

二.解決困難な問題は、上下の区分けや縦割りではなく、部署や個別のコミュニティを超えて一体となって取り組むべきとしている。旧来のしきたりに拘っていては何事も解決できない。ステークホルダーが一体となって解決策を模索することだ。

三.実際の推進に当たっては、一方的な指示を与えるのではなく、ステークホルダー一人ひとりの思いを実現していける運営を求めている。目指すべき共通のビジョンを持ちながらも、ステークホルダーそれぞれが自発的に取り組み、モチベーションを高められるように、モチベーション経営の必要性を説いている。

四.従来のパラダイムからの転換を迫っており、新しい事業パラダイムを作っていこうというもの。ISO26000 の策定は、世界全体のハードローからソフトローへの移行を象徴している。もはや各国の法律を尊守するだけでは不十分である。世界的なコンセンサスに配慮するためにも、世界の環境変化に敏感でなければならない。ここでは、旧来からの封建制や鎖国からの打破にも触れており、外部に目を向けるだけではなく、組織・地域内の悪弊の打破も期待している。

五.従来の鎖国的慣習を打破して広く世界の長(優れていること)を採り之を集めて大成することとしている。グローバル化の進展とともに閉鎖的な組織体制を見直し、各社の経営理念や地域のコンセプトを踏まえつつ、より率先して社会の変化を感じ取ることのできる組織運営が期待されている。

日本の現状を考え、国民一人ひとりが自分流に置き換えて考えることで、混迷する我が国の経済社会をどう乗り越えていくのかというヒントが見えてくる。企業経営、農林水産業経営、地域コミュニティといういずれの視点からも共通した課題である。特に、行政や企業とソーシャルセクター(消費者含む)のかかわり方が大きく変化し、これまでの行政や企業を中心とした社会から、ソーシャルセクターを中心とした社会構造に変化していくなかでは、「五箇条の御誓文」が示した事項は重要だ。「五箇条の御誓文」を再度現代版に見直すことが、社会課題の解決のための基本的な方針としての示唆を与えてくれ、CSRの推進のためのスキームにもなる。

【おおくぼ・かずたか】新日本有限責任監査法人シニアパートナー(公認会計士)。新日本サステナビリティ株式会社常務取締役。慶応義塾大学法学部卒業。教員の資質向上・教育制度あり方検討会議委員(長野県)。大阪府特別参与。京丹後市専門委員(政策企画委員)。福澤諭吉記念文明塾アドバイザー(慶應義塾大学)。公的研究費の適正な管理・監査に関する有識者会議委員。京都大学・早稲田大学等の非常勤講師。公共サービス改革分科会委員(内閣府)ほか。

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第11号(2013年8月5日発行)」から転載しました)

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2014年8月21日(木)11:45

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