コンセプトの共有こそが活性化のカギ【戦略経営としてのCSR】

大久保和孝

大久保 和孝 (新日本有限責任監査法人CSR推進部長)

地域の活性化のためには、地域のコンセプト(=地域の文化、誇り、郷土色)を理解した人材が不可欠である。如何にその地域のコンセプトを「表現」できるかが、ほかの地域との差別化をもたらし付加価値となる。すなわち、地域コンセプトを語れるリーダーの育成が、地域活性化の起爆剤となる。

企業に例えるならば、従業員への経営理念の浸透を通した企業価値の向上だ。コンセプトを語れるようにすることで、コンセプトを正確に理解したうえで考えられるようになり、コンセプトを中心とした一貫した取り組みが実践でき、価値向上につながる。
 
では、実際に、コンセプトを語れる人がどの程度いるか。所属する地域や組織への「誇り」は持っていても、その「誇り」を具体的に語れる人は少ない。コンセプトを語れるようになることで、明確に帰属意識や自尊心・自負心を持てるようになり、主体的で前向きな取り組みを促す。

コンセプトを浸透させるには郷土教育・理念教育が不可欠だ。では、どのタイミングで、誰を対象に、どのように浸透させていくか。コンセプトの浸透は、リーダーの最も大事な役割の一つだが、掛け声や言葉だけでは共感を生まず上滑りする。時間をかけ腰を据えて取り組み、徐々に浸透させるほかない。
 
先ずは各地域にあったコンセプトの整理が必要だ(第16回)。コンセプトを前提に、関係者同士の対話によるコンテンツを考える機会を設けることで、思い付きのアイデア出しではなく、コンセプトの背景や考え方を共有しながら議論でき、参加者にコンセプトの自分ごと化を促す。

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大久保 和孝

株式会社大久保アソシエイツ代表取締役社長(公認会計士・公認不正検査士)。慶應義塾大学法学部卒。前EY新日本有限責任監査法人経営専 務理事(ERM本部長)。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授、商工組合中央金庫取締役、セガサミーホールディングス監査 役、LIFULL取締役、サーラコーポレーション取締役、サンフロンティア不動産取締役、武蔵精密工業取締役(監査等委員)、ブレイン パット監査役、他多数の企業等の役員に就任。

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