ユナイテッド航空、米ファルクラム・バイオエナジーに 3000 万米ドル出資

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ユナイテッド航空、米ファルクラム・バイオエナジーに 3,000 万米ドル出資
環境に優しい航空バイオ燃料を年間少なくとも9,000万ガロン購入可能に
米航空会社の代替燃料への単一投資としては最大

ユナイテッド航空(本社:シカゴ、会長、社長兼最高経営責任者:ジェフ・スマイゼック)は、6月30日(米国現地時間)、米国のバイオ燃料開発会社ファルクラム・バイオエナジー社に3000万米ドルを出資すると発表しました。ファルクラムは家庭ごみなどの固形廃棄物を低コストで環境に優しい航空バイオ燃料に転換する技術開発とその商業化におけるパイオニアです。

今回の投資は、米航空会社による代替燃料への単一投資としては最大であり、これによりユナイテッド航空は航空バイオ燃料の進歩と炭素排出量の削減において、航空業界で一歩先を行く存在となります。加えて、ユナイテッド航空の5カ所のハブ空港の近くで推進される最大5つのプロジェクトを共同で行うことでもファルクラムと合意に達しました。同プロジェクトにおいては最大で年間1億8,000万ガロンの燃料を生産する可能性があります。

ユナイテッド航空のブレット・ハート執行副社長兼ゼネラル・カウンシルは「代替燃料開発は航空の未来に欠くことのできない重要な新産業であり、こうした燃料の実用化、量産化への支援はユナイテッド航空が進めるいくつもの取り組みのひとつにすぎません。代替燃料への投資は環境に優しいのみならず、バイオ燃料は石油価格の変動や炭素排出規制の対策にもなり得るもので、当社にとって有意義な決断であると確信しています」と述べています。

また、ユナイテッド航空はファルクラムと長期燃料供給契約についても合意し、生産が間に合えば、従来のジェット燃料と遜色ない価格で少なくとも年間9,000万ガロンの環境に優しい航空燃料を、最低で10年間購入できるようになります。この代替燃料はユナイテッド航空のあらゆる技術要件、仕様を満たすドロップイン燃料(そのままで航空機に使用できる燃料)であり、従来のジェット燃料と同じように航空機燃料として使用できます。

ファルクラムは2017年に最初の燃料工場の操業を開始する予定です。ファルクラムの技術についてのビデオは、fulcrum-bioenergy.com/company/video/ でご覧いただけます(英語)。また、ユナイテッド航空とファルクラムの提携に関する写真とインフォグラフィックのダウンロードは、 newsroom.united.com/fulcrumbiofuels より可能です。

■廃棄物をバイオ燃料にするファルクラムの技術とユナイテッド航空

ファルクラムの技術は、都市部の固形廃棄物(MSW)と呼ばれる家庭ごみを再生可能なジェット燃料に転換するものです。同社の再生可能なジェット燃料は、従来のジェット燃料と比べ、ライフサイクルでの炭素排出量を80%超削減する見通しです。同社の技術はMSWを革新的でクリーンかつ効率的な熱化学工程により、低コスト、低炭素の輸送用燃料に転換することに成功し、実証しています。

MSWは低コストでしかも価格が安定しており、実質的に供給は無限なため、バイオ燃料の原料として魅力的です。ユナイテッド航空は、ファルクラムとの契約により、環境に優しい航空バイオ燃料を使用することで炭素排出量を減らし、同時にごみ廃棄場のごみをリサイクルし、ファルクラムの施設が立地するコミュニティで新規雇用を生み出します。また、ファルクラムのプロジェクトには、軍の仕様を満たす燃料が将来生産されることにも期待が寄せられ、米空軍と米海軍も支援、参加しています。

ユナイテッド航空のアンジェラ・フォスターライス環境・サステナビリティ担当マネジング・ディレクターは「当社は代替燃料分野でのリーダーを目指し、また、環境に責任を負う企業として民間航空業界をリードするよう努めており、こうした弊社の取り組みが今回の投資でも明らかになりました。カーボン・オフセット・プログラムをはじめ、燃料を節約するウイングレット(主翼端翼)技術など積極的に取り入れてきた当社ですが、ファルクラムへの投資は、より持続可能な未来を目指すユナイテッド航空の『エコ・スカイズ』コミットメントの新たな一歩です」と述べています。

ファルクラムのE・ジェームス・マシアス社長兼最高経営責任者は「今回のプロジェクトにより、ユナイテッド航空が、なぜ民間航空業界でのリーダー的存在であるのかを示してくれました。ユナイテッド航空の私どものプロジェクトへの投資ならびに参加は、このプログラムに大きな推進力を与えてくれるものです。ユナイテッド航空のご支援とコミットメントは、環境に優しい燃料を競争力のある価格でユナイテッド航空やその他航空業界に量産供給するスケジュールを加速することになります」と述べました。

■航空バイオ燃料分野におけるユナイテッド航空の歴史

ユナイテッド航空はバイオ燃料会社に出資する米国初の航空会社です。ユナイテッド航空は2009年以降、環境に優しい航空バイオ燃料の進歩のため多額の投資を行い、この分野で多くの「初」を打ち立ててきました。
● 2009年、北米の航空会社として初めて環境に優しいバイオ燃料を使用した双発機のデモ飛行を実施。
● 2011年、藻から生産したバイオ燃料を使用して米国で初めて乗客を乗せた商業飛行を実施。
● 2012年、航空用バイオ燃料の商業化促進を目指す米国中西部の企業と地方公共団体の共同によるMASBI計画をユナイテッド航空が主導して開始。
● 2013年、同社のハブ空港のひとつ、ロサンゼルス発の便にバイオ燃料を使用するため、AltAir Fuelsと契約。米航空会社で初めて商業規模のバイオ燃料契約を締結。今年中に定期便へのAltAirの燃料の定期的な使用を開始する予定。
● 2015年、World Bio Markets (WBM)より先進バイオ燃料の部で優秀賞を受賞。

ユナイテッド航空の環境への取り組みについて詳しくは、united.com/ecoskies をご覧下さい(英語)

■ユナイテッド航空について

ユナイテッド航空は、ユナイテッド・エクスプレスとともに、世界6大陸373カ所の空港へ毎日平均約5000 便のフライトを運航しています。2014年には、約200万便のフライトで延べ 1億3800万人の旅客を輸送しました。ユナイテッド航空は、米国本土7都市(シカゴ、デンバー、ヒューストン、ロサンゼルス、ニューヨーク/ニューアーク、サンフランシスコ、ワシントン D.C.)でハブ空港を展開しており、世界で最も広範囲なグローバルネットワークを誇ります。

また、ユナイテッド航空は約 700 機の主要路線用機材を運航し、2015年にはボーイング787‐9型機および737-900ER型機を含む合計34機のボーイング社の新機材の受領を予定しています。さらにはユナイテッド・エクスプレス向けに49機のリージョナルジェット機、エンブラエルE175型を受領の予定です。ユナイテッド航空は、スターアライアンスの創設メンバーであり、加盟航空会社27社により、世界193ヵ国に就航しています。

ユナイテッド航空の8万4000人を超える社員は米国全州と世界中の国々に在住しています。ユナイテッド航空についての詳しい情報は united.com をご覧いただくか、公式ツイッター(@United)、または公式フェイスブックをフォローしてください。ユナイテッド航空の親会社であるユナイテッド・コンチネンタル・ホールディングス・インクは、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に UAL のシンボルで上場しています。

ファルクラム・バイオエナジーについてファルクラムは、カリフォルニア州プレザントンに本社を置き、都市の固形廃棄物をジェット燃料やディーゼルなど低炭素の輸送用燃料に転換する信頼性の高い効率的な工程の開発をリードしています。フルクラムは私企業で、原料、技術、燃料取引分野で様々な提携契約を結び、都市の固形廃棄物を再生可能燃料として大量に商業生産し、温室効果ガスの排出を削減し、既存ならびに将来のごみ捨て場問題を軽減する斬新なアプローチの更なる強化を図っています。ファルクラムについて詳しくは、http://fulcrum-bioenergy.com/company/video/ をご覧下さい(英語)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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