[書評]なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか

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ドイツの自然エネルギーは2014年、初めて総電力消費のトップに躍り出た。日本では「自然エネは不安定で、原発のほうが安い」といわれるのに、どうやってここまで伸びたのか。そんな疑問に答えてくれる本が、『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』(学芸出版社)だ。ドイツで進行中のエネルギーシフトを歴史背景、法的枠組みから課題まで、具体的な数値とともに詳細に解説している。(環境ジャーナリスト=川崎陽子)

『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』(学芸出版社)

『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』(学芸出版社)

「エネルギーシフトとは、国と市民が求める未来でありローカルレベルでの活動である」と著者の田口理穂さん。その舞台は、電力関連産業から、学校、住宅、鉄道、銀行、スーパー、警察、自治体まで社会全体におよぶ。ふんだんな事例の数々は、日本の市民が求める未来とも共通するはずだ。田口さん自身も地域に密着して活動し、ドイツ各地で同じ未来を求める市民たちと語り合ってきただけに、わかりやすく参考になる。

■ 市民が政策の主役に
ドイツでは、90年代から始まった学校での省エネプロジェクトでノウハウを身につけた世代が、今やエネルギーシフトを進める政治家を選び、行政と協働している。本書では、著者の地元ハノーファー市から州および連邦レベルまで、市民が政策の主役であること、さらに環境と経済は両立することを強調している。

自然エネルギーの推進だけではなく、省エネや電力効率化による革新的な技術も、新たな事業や雇用を生み出し、持続可能な都市計画にまで寄与してきたことがわかる。

このような大局的で社会変革を見越したエネルギーシフトのシナリオは、2~3年で部署を異動する経済産業省の官僚に任せたままでは生まれてこない。本書の読者がドイツ市民のように、求める未来を共有できる政治家を選ぶことを期待したい。

2016年5月13日(金)20:09

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