テンナイン、インバウンド見込み芸者向けに英語講座

通訳・翻訳サービスを提供するテンナイン・コミュニケーション(東京・港)は、インバウンド需要を見込み、都内の置屋や料亭で芸者向けの英語講座を無料で開講した。9月22日の料亭・瓢案(東京・浅草)で開催した「お座敷内英語学校」には8人の芸者や太鼓持ちが参加した。瓢案はスカイツリーからも近く、中国やアラブ諸国からの来店客が増えているという。同社は置屋や料亭でのニーズ調査を行い、今後の事業化を目指す。(松島 香織)

お座敷内英語学校には芸者や太鼓持ち8人が参加

テンナイン・コミュニケーションは、主に企業に講師を派遣し、グローバル人材育成のためのオフィス内英語学校事業に力を入れている。だが、グローバル人材の強化は企業だけでなく観光業の課題でもあり、ビジネスの可能性を見出した。

「異文化コミュニケーションは言葉を理解するだけでは成立しません。言葉はその国の文化や歴史から生まれてくるからです。だからこそ、他言語を介して日本文化を発信することは重要だと考えています」と工藤浩美社長は話す。

講座の参加者は、ネイティブ教師の後についてすばやく同じ会話を繰り返すシャドウイングや、飲み物のオーダーの取り方や代表的なお座敷遊び「トラトラ」などをロールプレイングで学んだ。

男衆で唯一参加した太鼓持ちの桜川七助さんは、日本語と英語で併記したプロフィールを持参していた。「日本企業の接待で中国人のお客様が増えている。五十の手習いです」と笑った。桜川七太郎さんは、「お酌という、ゲストとホストがお互いに飲み物をつぎながらコミュニケーションをとる、という風習は外国にはありません。身振り・手振りで説明しています」と話すが、通訳がいても誤訳されてしまうことがあるという。

教材を作成したテンナイン・コミュニケーション英語教育事業部の松本匡史(まさふみ)さんは、「英語は世界の共通語でコミュニケーションの架け橋です。自分の言葉で伝えることが何より大事です」と語る。

参加者の中には、会話の内容を暗記してくる勉強熱心な芸者がいた。教材には個別のQRコードを付け、YouTubeで復習できるようにしてあるが、スマートフォンやインターネットに不慣れな受講者をどうフォローするかが課題だという。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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