■犬の保護事業で書類送検
折しも、ピースウィンズは11月20日、殺処分ゼロを目指す犬の保護事業で、広島・福山北署などから狂犬病予防法と県動物愛護管理条例違反容疑で書類送検された。そもそも殺処分をゼロにするというのは、安易なペットブームへの警鐘から始まり、犬を捨てる無責任な飼い主の教育から新たな譲渡先探しまで一連のプロセスを、行政や地域、専門家と協力して確立することであるはずだ。
殺処分されるはずの犬を全部引き取って2千頭を山の中に囲ったからと言って、「殺処分ゼロ実現」というのは欺瞞ではないかとの見方も出ている。志はすばらしいが、独善的なやり方で無理を重ねた結果が法令違反では社会との関係がこじれるだけではないだろうか。
■助成の基準は
こうなると、JPF資金の3分の1を独占するピースウィンズへの助成が適切かどうか、誰しも疑問に思う。西日本豪雨でも民間からの寄付6億円のうち3分の1をピースウィンズが持っていったというので他のNGOから不満が出ている。財政に問題があり、法律違反を犯しても何のチェックもないのだろうか。
JPFの事業実施・助成ガイドライン第46条(4)では「支援地または日本国内における法律に抵触する行為をした時など、当該団体に対し事業申請の停止、助成金額を制限できる」と規定している。また、債務超過に関しては、ガイドライン要領1「助成カテゴリーにおける助成上限及び資格要件」の規定に基づきNGOの財務状況の審査を公認会計士と一緒に実施することになっている。
ピースウィンズについてJPF事務局は「個別事情が明らかになった時点で、JPFの規準に照らした検討を行い、モニタリングの強化を含めた対応を実施している。今後も行うことになる」と話しており、明確な規準の下で、違法行為への対処を急ぐ一方、今後の会計見通し、寄付動向、借入金返済計画などを注視していく考えのようだ。
多額の税金と企業からの寄付を原資に助成しているJPFは「公的な存在」であり、特定の団体に私物化されていると誤解されるようなことがあってはならない。今も支援を継続している企業も多い。改革により公正な運営をどう確保し、経済界の信頼を取り戻すか、いまJPFの真価が問われている。
(完)