緊急連載■バイオマス発電の限界と可能性(上)

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県が積極支援の前橋バイオマス発電、住民訴訟が結審

太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーは、石炭火力発電や原子力発電に代わる重要なエネルギー源だ。しかし、「バイオマス発電」をやみくもに進めることには、大きなリスクがあった。(オルタナ編集委員・栗岡 理子)

■バイオマス発電を巡る行政訴訟が結審

バイオマス発電は、固定価格買取制度(FIT)(注1)の価格が2019年度も昨年度と同額のまま据え置かれ、2割以上減額された事業用太陽光発電などに比べても注目度が高い。

前橋バイオマス発電所ゲート

とりわけ、未利用木材を使用する木質バイオマス発電は、FIT上でも優遇されている。間伐材などを利用することで森林保全にも役立ち、低炭素社会に貢献できると考えられてきた。

そんななか、2016年に住民が群馬県を相手取って前橋地裁に提訴した「前橋バイオマス発電所」の補助金返還履行請求の住民訴訟の判決がまもなく出ようとしている。

前橋バイオマス発電所側面(赤城山の自然と環境を守る会提供)。市の規制基準を超える騒音が確認されている

前橋バイオマス発電所は2018年3月、東京電力子会社である関電工と、トーセン(栃木県)が出資して建設し、営業運転を開始した。

群馬県の森林組合などから調達する間伐材などを燃料として、最大出力6750キロワット、年間発電量約4300万キロワット時(一般家庭約8700世帯分)という巨大発電所である。

この発電所の建設にあたり、発電所のある赤城山南麓エリアの住宅地に住む住民への事前周知は行われず、周辺住民は建設による騒音で初めて知ることになった。

群馬県の環境影響評価条例では、新設工場の総排ガス量が毎時4万立方メートルを超える場合は環境影響評価(環境アセスメント)を実施しなければならない、と規定されている。

しかし、県は木材の含水率が20%あるとして、未利用の木質バイオマスを燃料とする場合には排ガス量を計算する際、20%の水分量を考慮してよいと規定を改定した。そのため、この事案は環境アセスメントの対象外であるとされた。

その結果、環境への影響は評価されることなく発電所の建設が進み、県からこの事業に対し、8億円の事業費の6割にあたる4億8000万円を助成した。建設計画は滞りなく進行したのである。

■発電所建設目的は山の除染か?!

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栗岡 理子
1980年代からごみ問題に関心をもち、活動しています。子育て一段落後、持続可能な暮らしを研究するため、大学院修士課程に進学。2018年3月博士課程修了(経済学)。専門は環境経済学です。

2019年7月24日(水)15:48

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