りそな銀、パーム油や海洋プラでESG投資を強化

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りそな銀行は9月26日、セミナー「『SDGs×金融』について、世界と日本の動向を知る」を開いた。同行はESG(環境・社会・ガバナンス)投資を実現するために、投資先企業との「対話・エンゲージメント」を重要視し、パーム油や海洋プラスチック問題などをアジェンダに掲げる。松原稔・アセットマネジメント部責任投資グループグループリーダーは「ESGやSDGsの取り組みは、企業にとってリスクにもチャンスにもなる」と強調した。(オルタナ副編集長=吉田広子)

松原稔・りそな銀行アセットマネジメント部責任投資グループグループリーダー

機関投資家のESG投資行動を推進するために2006年にPRI(国連責任投資原則)が設立すると、署名機関数は年々増加。2019年8月現在で署名機関数は2500社を超え、運用残高は約1京円にも上った。

日本では、2015年9月に世界最大の機関投資家GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がPRIに署名したことが契機になり、ESG投資の機運が一気に高まった。

りそな銀行は2008年にPRIに署名。同行が「責任投資」に取り組み始めたきっかけとして、松原グループリーダーは「2003年の公的資金の投入によって、存在意義を深く考えるようになった。『社会に生かして頂いた企業』として再出発した」と話す。

■投資先企業との対話を重視

りそな銀行は「責任投資」の具体的施策として、次の3つを定めている。

1.投資の意思決定プロセスへの「ESGの組み込み」
2.投資先企業との建設的な「対話・エンゲージメント」
3.受託者として適切な「議決権行使」

りそな銀行は責任投資グループを立ち上げ、2017年8月に持続可能なパーム油の調達をテーマとしたエンゲージメントを開始した。

パーム油は、世界で一番使用されている植物油で、インスタント麺や菓子類、冷凍食品や洗剤・化粧品などに使われている。だが、主要生産地のマレーシアやインドネシアでは、森林破壊、児童労働や強制労働、先住民との軋轢といった問題を抱えている。

そこで、責任投資グループは、パーム油のサプライチェーンにかかわる投資先企業に対して持続可能なパーム油の調達に関する支援を開始した。

当初は製油・化学企業4社、食品製造企業10社、トイレタリー製造企業6社、小売企業15社を対象にスタートし、現在は総合商社や外食企業にも広げている。

対象企業とは、どの程度リスクを認識しているか、トレーサビリティがどこまで確保されているか、持続可能なパーム油の調達を進めているか、目標や実績を開示しているかなど、対話をしながら現状を把握し、できるだけ先のプロセスに進んでもらえるようにサポートしているという。

対話の結果、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)に加盟する企業も増えた。

「日本企業の対応は遅れていたが、少しずつ成果が見えてきた。どこにアプローチするのが効果的かを考え、川下である小売企業から川上に遡る方法が奏功したように思う。何度も失敗し、試行錯誤を繰り返しながら、対話を進めている」(松原グループリーダー)

生産側の事情や現状を把握するためにも、アナリストは現地の大手パーム農園企業にも出向く。

2018年度からは新たなアジェンダとして、海洋プラスチック問題を掲げた。レジ袋やプラスチック容器、ペットボトル、ストローなどに関連する投資先企業(小売り業、食品製造、トイレタリー製造など)を訪問し、各社の取り組みを確認するエンゲージメントを進めている。

松原グループリーダーは、「サプライチェーン全体に企業の責任が広がっている。気候変動、人権、水資源など、ESG課題のテーマも幅広い。企業とは何か、改めて考える時期にきている」と話した。

2019年9月28日(土)7:00

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