宗教もエコの時代 東洋大でシンポ

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【写真】講演する山本良一東大名誉教授(壇上)

深刻化する環境問題の解決には、人間や生命の根源から発想する宗教面からのアプローチが必要ではないか―。こうした問題意識の下で東洋大学と宗教学者などが作る「宗教・エコイニシアティブ」は11月6日、学者や宗教団体幹部を集めてシンポジウム「宗教と環境―地球社会の共生を求めて」を東京で開催した。既存の仏教宗派から新宗教まで、各団体が地球環境問題に関心を向け、教義の改正や環境保護活動に動く姿が明らかになった。

会場には経済学者、宗教家など約200人の聴衆が集まった。宗教団体と学者が環境をテーマに意見交換をする例は珍しく、仏教学者で東洋大の共生思想センター長でもある竹村牧男学長は「多様な思想の交流によって新しいアプローチを探る可能性が見えた。今後もさまざまな立場の人による知的な交流を続け、問題に向き合う方法を考えたい」と語った。

基調講演では、環境経営学会の会長などを務める山本良一東京大学名誉教授が地球温暖化問題の深刻化を前に「宗教界には新たな環境コンセプトを作り出し、それを活用して温暖化防止の行動を促してほしい」と期待を述べた。薗田稔京都大学名誉教授(環境宗教学)が「万物すべてが仏性を宿すという考えの下で、神、人、自然のつながりを大切にした」と日本人の自然観を紹介。農作で殺した害虫の霊をなぐさめる「諸虫供養」、また「草木供養」という世界に類例のない命を慈しむ行事が日本全国にあることを指摘した。

シンポジウムには生長の家、立正佼成会、法華宗、日蓮宗の宗教家が参加。生長の家では2001年から07年にかけて、CSR規格のISO14001認証を教団の国内全事業所で段階的に取得。さらに会員の太陽光発電パネルの購入補助も行っている。また2012年にはグリーン電力などを利用して、教団活動によるCO2排出をゼロにすることを目標にしている。

また立正佼成会は今年、生長の家の支援を受けてISO14001の認証を取得した。同会は月に2回程度、食事やおやつを抜いてその分に相応するお金を環境運動に寄付する「一食(いちじき)を捧げる運動」を行う。法華宗は、宗の諸規則を10年までに「菩薩行」の実践を重視する形に変え、環境貢献をその内容にしたという。

生長の家の山岡睦治出版・広報部長は「いずれの宗教の教義にも自然に生かされていることを感謝し、すべての命を大切にするという教えが含まれる。そうした共通の土台に立てば、各宗教が多様性を保ちつつ、環境問題の解決で協力できるはずだ」と期待を寄せた。(オルタナ編集部=石井孝明)11月9日

2010年11月10日(水)9:00

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