「原発震災」エネルギー政策転換へ

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相次ぐ水素爆発などで無残な姿をさらす福島第一原発(引用元:Digital Globe)

3月11日に起こった東日本大震災は日本のエネルギーの姿を変えるはずだ。16日にも続く東京電力福島第一原発の危機的状況、そして東北と関東での電力不足と停電に私たちは直面した。厳しい現実により一人ひとりが、劇的な意識の変化を経験しただろう。過剰な浪費からの決別と、自然エネルギーの普及が解決策であることは明らかだ。残された私たちが安全な国を創り出さなければ、数万の犠牲者の魂が浮かばれない。

「代替エネルギーはない。原子力利用は避けて通れない」。地震後の3月15日、与謝野馨経済財政相は会見で述べた。この発言はこれまでの政府や関係者の共通認識だ。「無資源国日本」。政府に刷り込まれた恐怖感は、大量の電気を作り出せる原発の設置に向かった。世界原子力協会の09年の調査によれば、米104基、仏59基に次ぎ、日本は53基の原発を稼働する原子力大国だ。

世界各国ではここ数年、原発ブームが起こったかのように見えた。新興経済国の電力需要の急増、化石燃料の枯渇と価格急騰、そして温暖化への危惧。「電気を大量に安く電気を作れ、しかもCO2を出さない」。こうした長所を強調して原発は作られた。

原発は現在、日本の電力の約3割を賄う「基幹電源」となった。政府は昨年6月に策定したエネルギー基本計画で14機以上の原発の新増設を掲げ、2019年度には原発の比率を48%(09年度の28%)に高める方針だった。さらに国の「インフラ輸出」策の柱にも位置付けた。

しかし一連の原子力政策は安全への懸念を置き去りにしたものだった。「多重防護策があるから災害には大丈夫」。しかし今回の原発事故で分かる通りの政府と電力会社から繰り返された「安全神話」は幻想に過ぎなかった。国民に原発不信が広がり、国のエネルギー政策は抜本的な見直しを迫られるはずだ。影響はさっそく出た。15日には中国電力が上関原発(山口県)の工事を一時中断し、同日には九州電力が宮崎県串間町に計画する原発の住民投票も延期になることも決まった。

しかし一連の危機は好機(チャンス)かもしれない。停電が予想された東京電力管内では企業と個人が節電に動いている。過去の需要から推定した14日の需要予測は4100万キロワット(kw)。ところが節電で2800万kwとなり停電は回避された。国民の意識の高まりは、エネルギー浪費への決別のきっかけになるだろう。

11日の震災の日、政府は自然エネルギーの電力会社への買い取り義務付けを決める「電気事業者による再生可能エネルギー特別措置法案」の国会への上程を閣議決定した。この仕組みは、ヨーロッパで取り入れられ「エコなエネルギーは儲かる」という形を作りあげて自然エネルギーの導入増をもたらした。

日本の脆弱性をエネルギーの面でリセットする。その最後のチャンスに私たち日本人は向き合っている。(オルタナ編集部=石井孝明)2011年3月16日

2011年3月16日(水)18:46

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