「世界最悪企業賞」、東電は2位――スティグリッツ教授も「企業はCSRの徹底を」

ノーベル経済学賞の受賞者であるジョセフ・スティグリッツ教授

世界で最も社会的に無責任な企業を選ぶ「パブリック・アイ・アワード(the Public Eye Awards)」(通称:世界最悪企業賞)の結果が1月27日、スイス・ダボスで開かれている「世界経済フォーラム」年次総会の会場で発表された。

この不名誉な賞を受賞したのは、ヴァーレ社(ブラジル)。総投票数88766票のうち、25041票を獲得した。同社は、世界第2位の採鉱会社で、世界最大の鉄鉱石の生産業者だ。同社は過去60年間、人権侵害と自然破壊を繰り返して行なってきた。

同社が、アマゾンの熱帯雨林の中心部に建設中のベロ・モンテ・ダムが完成すれば、約4万人の現地住民が強制避難を強いられ、生態系にも深刻な影響をもたらすことを理由にノミネートされていた。

この賞は、誰でもインターネットで投票できるシステムで、東京電力は、24245票で2位になった。東電は今年の投票レースでずっとトップを走っていたが、投票直前になってヴァーレ票が急追し、結局2位になった。この経緯について「何らかの組織票が動いたのではないか」と指摘する声もある。3位には19014票のサムスン社(韓国)が続いた。

企画・運営を手がけたNGOベルン・デクラレーションのフランソワ・マイエンバーグ氏は「毎年、この賞にノミネートされる企業による人権侵害や環境破壊は到底、看過できない。私たちは、人権団体、環境団体など50団体が構成する『国境なき正義』同盟の関係者と力をあわせ、企業が社会的責任を遵守するように政府に訴えていく」と語った。

特別ゲストとして招かれたノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ教授は「この危機的状況を乗り越えるために重要なことは2つある。まずは、政府が様々な社会問題に規制を設けることだ」と指摘した。

「もう1つは、企業も個人も『自己利益』に対する考えを拡大する必要がある。『持つ者』と『持たざる者』の経済格差を是正しなければ、この社会は崩壊してしまう。それには、企業が社会的責任を果たすことが不可欠だ」と語り、世界の現状に対し強い警鐘を鳴らした。(オルタナ編集部=赤坂祥彦)

プレスリリース

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #CSR

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