東京電力「世界最悪企業賞」最有力-原発事故でサムソンなどと争う

東電を紹介する写真には「私たちは手に負えないものを作り出した」の文字が

CSR(企業の社会的責任)や環境保全の観点から世界で最も無責任な企業を選ぶ「パブリック・アイ・アワード(the Public Eye Awards)」(通称:世界最悪企業賞)の候補に東京電力がノミネートされ、話題になっている。

スイスを拠点とするNGOベルン・デクラレーションとNGOグリーンピースが選出しているもので、ネット投票も受け付けている。

その結果は、毎年ダボスの「世界経済フォーラム」の会場で発表し、フォーラムの主催者や参加者に警鐘を鳴らし続けている。

今年のネット投票では東京電力が12000票余りを集め、6社中トップを走っている(日本時間1月15日午前11時現在)。2位はサムソン(韓国)、3位はヴァーレ社(ブラジル)と続く。

東電のノミネート理由は「識者の勧告に耳を傾けず、原発の安全確保よりもコスト削減を優先した。その結果、福島の原発事故とそれに続く国土の放射能汚染を防げなかった。情報開示についても非常に不誠実で、馴れ合いと隠ぺい、偽装にまみれている」。

ネット投票締め切りは1月26日で、結果は1月25日からスイスのダボスで開催される世界経済フォーラムの中で発表される。

「パブリック・アイ・アワード」は2000年の選考開始以来、環境汚染、情報隠ぺいや労働搾取など、企業の社会的責任の観点から「最も責任感に欠ける」行動をとった企業を選出してきた。

今年度の候補とノミネート理由は以下の通り。

◆東京電力(日本):リスクについての盲信が福島第一原発のメルトダウンを招いた。コストを削減するため、原発の構造的な安全問題を無視した。メルトダウンと放射能汚染は防げたかもしれない。情報開示も常に遅かったし、虚偽の情報もあった。東電社内には隠蔽とごまかしの体質がある。

◆サムソン社(韓):自社工場で、使用許可のない毒性の高い物質を労働者に知らせることなく使用。その結果、多くの労働者ががんを患った。

◆シンジェンタ社(スイス):ヨーロッパで禁止されている自社の除草剤を南半球で販売。何千人もの農民が同製品の使用により命を落とした。

◆ ヴァーレ社(ブラジル):アマゾンの熱帯雨林の中心部にベロ・モンテ・ダムを建設中。約4万人の現地住民が強制避難を強いられている。

◆バークレイズ社(英):投機マネーを注ぎ込み、世界中で食料の値段高騰を招いた。その結果、数え切れない最貧困層に属する人びとの命を犠牲にした。

◆フリーポート・マクモラン社(米):45年にわたり、インドネシア東部パプア州にある同社の採鉱現場を汚染し、反抗勢力を拷問し殺害してきた。(オルタナ編集部=赤坂祥彦)

パブリック・アイ・アワード

※お断り この記事の見出し・本文表記は1月13日の掲載当初、「世界最悪企業」、1月15日からは「最も無責任な企業」でしたが、賞の主催NGOの英文ホームページの記述を改めて再確認した結果、弊社オルタナとしては、見出し・本文表記を1月17日から「通称:世界最悪企業賞」に再変更することに致しました。なお、この間、ネット上で「表記の改定には東京電力からの圧力があったのではないか」と書き込みがありましたが、東京電力からオルタナへの連絡は全くありませんし、今後も東京電力から圧力を受けることはありません。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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