手つかずの福祉車両サービス、NPOと二人三脚で成長市場へ―中古車販売「オニキス」グループ社長に聞く

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鄭敏(てい・びん)社長

自動車販売チェーン「オニキス」グループ(東京・世田谷)がNPO法人「市民福祉団体全国協議会」(略称・市民協、東京・港)と福祉車両サービスの分野で提携した。

NPOに加盟する介護保険事業所など約1300法人に対し、車両購入のアドバイスから修理メンテナンス、運転手の確保まで一貫したサービスを提供する、全国でも珍しい試み。

高齢者や身体障がい者など公共交通機関の利用が困難ないわゆる移動制約者は全国で600 万人に上るが、「手つかず」の市場でもある。グループを運営するオートコミュニケーションズ社の鄭敏(てい・びん)社長にその狙いを聞いた。(聞き手・編集部=赤坂 祥彦)

■中古福祉車両マーケットの成熟を

――NPOと提携された理由を教えてください。

以前から個人向けには中古福祉車両を扱ってきました。しかし福祉車両のマーケットは未成熟で「どこで、どういう車両を買えばよいのか分からない」という声を多く聞いてきました。どうすれば一人でも多くの移動制約者が抱える問題を解決できるかを考えた結果、市民協の会員である法人のニーズにも応えようと思いました。

――どのような人が利用されるのでしょうか。

千差万別です。そのお客様の障がい・介護の等級によって車両に必要とされる機能は全く異なります。例えば車いすを利用されるお客さまでも、電動車いすは手動のものより重量があり、ヘッドレストも高い位置にあります。

そのため車高の高い車を提供する必要があるのです。また、同じメーカーの車両でも福祉車両として使用する場合は、車種によって操作方法が全く異なります。様々なメーカーの車種を扱い、購入後のフォローを徹底的に重要視してきた当社だからこそ提案できるサービスがあると自負しております。

――今後、クリアすべき課題はなんですか。

一つは社員教育です。福祉車両を扱う以上、商品知識に加え、介護福祉に関する見識も必要になります。そういった社員をどんどん増やしていきたいと思っています。

もう一つは修理の問題です。中古福祉車両についてお客様から寄せられる要望の中で最も多いのは修理に関するものです。福祉車両の修理は一般乗用車に比べるとかなり煩雑で、パーツも入手しづらい。

お客様は販売から修理まで一気通貫したサービスを期待します。しかし実際の業界の構造は販売、ファイナンス、修理に関わる業者が縦割りになっていて、お客様のニーズに応じきれていない。当社は中古福祉車両のマーケットを成長させるために、NPOや修理業者などと横の連携を強化するジョイント役を務める存在でありたいと思っております。

■     他社に真似されても構わない

座席が回転し、移動制約者を車外まで運び出せるように改造された車両

――残価を見越し、最大で価格の半額を3年後に後払いできる独自のローンシステムを採用されています。

中古福祉車両の場合は個人と法人のお客様ではかなり事情が異なります。個人で使用する場合は車両を丁寧に使い、購入から3年以内に買い換えるケースが多く、当社としても買取りやすい。

一方で法人のお客様の場合、車両の多くは慈善団体などから寄付され、業務用車両として使用されています。そのため雑に使われることが多く、買取りが難しいです。やはり「自分のお金で買った」という意識があるかないかは、車両の傷み具合に大きく影響します。

――社員が社会貢献を実感しやすい事業に映ります。

この事業を開始したから社員のモチベーションが向上したということはありません。当社のビジネスモデルは最初から社会貢献を意識しています。全国に約300店舗あるフランチャイズにしてもそうです。当社では、従業員はその地域を発展させる存在であるという認識を持っているため、可能な限り彼らの自主性を重んじています。

――CSR(企業の社会的責任)についてはどうお考えですか。

車はとても環境負荷の高い製品です。車業者だけでなく、企業が経済活動を行えば環境に負荷をかけるのは避けられない。ただ、少しでもいいからその矛盾を解消しようと努力することが大切だと思っています。

――今後、他社の参入による競争の激化も予想されます。

歓迎します。他社が、弊社のビジネスモデルを真似しても構いません。それでこの市場が大きくなり、移動制約者の「移動したい」というニーズが満たされるならそれは素晴らしいことです。綺麗事ではなく、もう「一人勝ち」という姿勢の企業は生き残れる時代ではありません。

――今後、目指す方向性について教えていただけますか。

中国出身の私には、よく現地での新規事業立ち上げの話が舞い込みます。確かに中国の自動車市場は巨大ですが、それだけの理由で進出するつもりはありません。

私が仕事上で大切にするのは、関係者との信頼関係です。それがなければ国内でも仕事を進めるのは難しい。逆にいえば、同じ志を持つ相手と仕事ができるのなら、中国でもアフリカでもヨーロッパでも進出したいと思っています。

 

2012年2月22日(水)10:05

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