昨日7月3日、東京・日比谷で「自然エネルギーの未来」というフォーラムをコモンズ投信株式会社様と共催させて頂きました。あいにくの雨でしたが会場はほぼ満員となりました。ご来場頂いた方には厚く御礼申し上げます。
この7月1日から「再生可能エネルギー推進法」が施行され、自然エネルギーの固定価格買い取り制度(日本版FIT)が始まりました。
思えば、ここに至るまでの一連の流れは、非常に感慨深いものがあります。
それは昨年の東日本大震災が1日早く発生していたら、この法律の施行は少なくとも1年、もしくはそれ以上は遅くなっていたであろうことです。
というのは、再生エネ推進法は、2011年3月11日午前に閣議決定されたのです。大地震があと1日、いや数時間早く起きていたら、閣議すら開かれなかったかもしれません。
もし、閣議決定されず、昨年の国会で再生エネ推進法が今年に持ち越されていたら、今国会での民主党運営の混乱を考えると、この法律は数年ほどは日の目を見なかった可能性もあるのです。
そして、再生エネ推進法は、大飯原発再稼動のまさにその日に施行されたのです。歴史がさまざまに綾を織りなす不思議さを感じさせます。
昨日、基調講演頂きました経済産業省・資源エネルギー庁新エネルギー対策課の村上敬亮課長によると、この法案の閣議決定は当初、3月14日に予定されていたとのことです。それが、前任者の「虫の知らせ」で、3月11日に前倒しされたとのことです。
なんという偶然でしょうか。いえ、それは必然だったかもしれません。とにかく、この法案が無事施行され、日本でも自然エネルギーの固定価格買い取り制度が始まり、2030年までに全発電量の25-35%を目指すことになりました。
これにより、太陽光、小水力、バイオマス、地熱など多くの自然エネルギーへの投資が加速し、日本のエネルギー構造が大きく変化することが見込まれます。
日本では、自然エネルギーが全体に占める割合は約1%に過ぎません。
これを「25-35%にするのは、等差級数(足し算)ではなく、等比級数(掛け算)にして行かなければならない」と村上課長は指摘しています。
村上課長はさらに、「固定価格の買い取りは高いレベルになった。しかし買い取り価格だけでは不十分で、自然エネ開発の障害になっている諸規制の緩和や、自然エネによる発電を受け入れる系統の体制作りの問題などが残っている」と指摘しています。
2002年6月に公布されたRPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)は、自然エネルギー推進のように見えて、自然エネによる発電量にキャップをかぶせるものであり、その実態は「自然エネルギー阻害法」と言われていました。
経済産業省・資源エネルギー庁も、各電力会社も、自然エネルギーの導入には後ろ向きと言われても仕方がない側面がありました。
しかし、昨晩の村上課長の基調講演を聞く限りは、資源エネルギー庁は180度方針を転換し、名実ともに自然エネルギーを推進していく方針であることを、再確認させて頂きました。
これから、官民一体となって、自然エネルギーを推進し、真の「持続可能な社会」の実現が近づくことを願ってやみません。