編集長コラム) 安さだけで電気を選んでよいのだろうか

英語で You are what you eat. という言い回しがあります。米国でダイエットの先生もよく使う通り、「あなたはあなたが食べたものでできている」という意味ですが、もう一つの解釈もできます。

つまり、どんな食材でどんな食事を作り、あるいは食べ物を買い、どのように食べるのかがその人の生き方や考え方を表し、それは他人に見られているーーという意味合いです。

今年4月の電力自由化が近付いてきましたが、実は「電気を選ぶ」ことも、食を選ぶことと同じなのです。

いまテレビでは盛んに電気料金の安さを訴えるCMが増えてきました。もちろん価格もサービス選択において重要な要素です。ただ、その電気はどう作られているのか、だれから買うのか、その結果、私たちは社会をどう変えていきたいのかーーも同時に問われています。

一つの答えは、自然エネルギー(グリーン電力、再生可能エネルギーとほぼ同義)でしょう。多くの世論調査では、原発の再稼働に反対・慎重な割合は今でもおおむね6割を超えています。であるならば、電気のなかでも自然エネルギーを優先的に買うことで、自らの意見を経済社会に反映できるのです。

さらには、できるだけ地元の電気を買うことで「エネルギーの地産地消」が期待でき、顔が見える発電会社から買うことによって発電者との意思の疎通が図れます。単なる電気代が、地域を動かす「志金」になる可能性を秘めているのです。

日本の自然エネルギーが全発電量に占める割合はまだ4%台(自然エネルギー白書)。30%を超えたとされるドイツなどに大きく後れを取っています。
参考記事:「ドイツ、再エネ8割でも電力供給は安定」
http://jref.or.jp/column_g/column_20150902.php

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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