最近、読者から「SDGsウォッシュ」の由来はーーとの質問がありました。皆さんは、この言葉をご存じでしょうか。
もともと英語には「ホワイトウォッシュ」(whitewash)という表現があります。ウォッシュ(wash)は通常、「洗う」という意味ですが、この場合は「色を塗って隠す」ことを指します。
「ホワイトウォッシュ」は、「ウソをごまかす」「欠点を隠して良く見せる」という意味です。白いペンキで建物や部屋の壁を塗りたくり、キズや落書きを消す感じです。
そしておそらく90年代に、「グリーンウォッシュ」という言葉が英語圏で使われるようになりました。1992年のリオ地球サミットで環境問題が世界に共有され、企業が環境対策に力を入れ始めたころです。
これは「環境対策に取り組んでいるかのように見せて、実は取り組んでいない」、「環境負荷が高い製品/サービスなのに、それが低いようにごまかしている」などの揶揄を含んだ表現です。
そして2015年に国連サミットでSDGsが採択されてしばらくすると、英語でも日本語でも「SDGsウォッシュ」という言葉が使われるようになりました。その意味は、グリーンウォッシュの「環境対策」を、「社会課題の解決」と読み替えれば良いと思います。
ただし、日本企業は「SDGsウォッシュに見られないだろうか」という思いが強すぎるようにも感じます。これは日本の伝統でもある「陰徳」から来ているのかも知れません。