太平洋のクロマグロ、乱獲で9割以上減る

この発表を受けてWWFジャパンでは、太平洋クロマグロの漁法ごとの海の環境に与える影響の大きさについて、改めてアセスメントを実施した。アセスメントは、資源状況、資源管理のための体制、海の生態系への影響などクロマグロの持続可能性を総合的に評価したものだ。評価の結果、3段階評価で以前は中間の位置にあった一本釣り、巻き網、養殖いずれの漁法も、「低」の位置に総合評価を下げることになった。

太平洋クロマグロは各国の排他的経済水域の範囲を越えて広く回遊するため、国際資源管理機関である中西部太平洋マグロ類委員会(WCPFC)と全米熱帯マグロ類委員会(IATTC)で資源管理が行われている。しかし、保全管理措置が導入されたのは、WCPFCでは2011年から、IATTCでは2012年からと最近のことだ。太平洋クロマグロの過剰漁獲問題はかねてより提起され続けていたが、この管理措置導入の遅れによって、今回の資源評価結果を招いたといえる。

WWFジャパンの山内愛子水産プロジェクトリーダーは今回のISCの資源評価を受けて「太平洋クロマグロのほとんどが日本で消費されているという現状では、管理措置の強化といった行政や漁業者による、より一層の努力の必要がいる」と話した。

「しかしそれだけでなく、流通業者や消費者も、太平洋クロマグロの資源状況について重く受け止める必要がある。この科学的な事実が、広く認識される必要がある」と続けてコメントした。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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