日鉄、総会で脱炭素政策の矛盾問われる: 石炭使う高炉温存で

記事のポイント


  1. 日本製鉄は6月24日、USスチール買収後初となる株主総会を開催した
  2. 株主総会の会場内外で、同社の脱炭素戦略の後退を懸念する声が上がった
  3. 株主総会でも、脱炭素戦略と石炭温存の矛盾を突く質問が株主から出た

日本製鉄は6月24日、第101回定時株主総会を都内で開催した。株主総会の会場内外で、同社の気候変動対策の後退を懸念する声が上がった。同社は、昨年の株主総会で、気候変動対策に関する株主提案が最大約28%の支持を集め、脱炭素への懸念が表面化した。今年は、USスチール社の買収で石炭を使う高炉の温存をコミットしたことに対し、株主から脱炭素政策との矛盾を問われた。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

株主総会の会場付近で「石炭からの脱却」を求める国際NGO
(c) SteelWatch / Daiki Tateyama

日本製鉄は6月24日、都内で第101回定時株主総会を開催した。

会場近くの公道では、国際環境NGOスティールウォッチなどが、同社総会に向かう株主らに、同社の石炭拡大がもたらすビジネスリスクと十余年にわたる気候変動対策の空白期間について声を上げるよう呼びかけた。

特に日本製鉄は6月18日、米鉄鋼大手のUSスチール社を買収した際に、米国内のUSスチール社の高炉6基の延命を約束している。

スティールウォッチでアジアを担当するロジャー・スミス氏は、「日本製鉄はゼロエミッション達成を表明しているものの、USスチール社との取引確保のために石炭を利用した鉄鋼生産への新規投資を約束したり、豪州での石炭採掘を拡張するなど、実際の行動は逆行している」と指摘する。

■株主総会でも脱炭素戦略の矛盾を突く質問が出る
■今決める投資判断が、将来の競争優位性を左右する
■「日鉄は世界で最も排出量の多い鉄鋼メーカー」になりかねない

有料会員限定コンテンツ

こちらのコンテンツをご覧いただくには

有料会員登録が必要です。

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

オルタナ輪番編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部、2024年1月からオルタナ副編集長。

執筆記事一覧
キーワード:

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。