[独自]トヨタ、部品メーカーの「脱炭素」施策を資金援助へ

記事のポイント


  1. トヨタ自動車が、主要サプライヤーの脱炭素施策を資金援助することが分かった
  2. 2050年にライフサイクル全体でネットゼロを目指す中で、取引先を支援する
  3. サプライチェーン全体の脱炭素が問われる中、トヨタの施策は他社に先んじる

トヨタ自動車が部品メーカーなどに対して、再エネ電力調達費を資金支援することが、オルタナ編集部の取材で分かった。非化石証書などの購入で増やした再エネ電力量に応じて、費用の一部を補てんする。脱炭素の世界的枠組みでは、サプライチェーンに該当する「スコープ3」のCO2削減が課題で、トヨタはまず「川上」の脱炭素を支援する。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

トヨタ自動車は先ごろ、主要サプライヤー約300社向けにオンラインで説明会を開いた。国内に製造拠点を持ち、トヨタ自動車に直接部品を納入する「ティア1」に位置する部品・資材メーカーが対象だ。

関係者によると、その説明会では、再エネ電力調達費の「一部補てん」についての説明があったという。補てんの対象は、4つある。

「オフサイトPPA」などを後押し

一つ目が、非化石証書やグリーン電力証書など、市場で購入できる証書の購入費だ。企業はこれらの証書を購入することで、実際に排出したCO2排出量を相殺(オフセット)することができ、削減したとみなすことができる。

二つ目が、電力会社が提供する「CO2フリー電力」の購入費だ。再エネ由来の電気や非化石証書などで実質的にCO2排出をゼロにしたものを指す。

最後が、電力購入契約である「フィジカルPPA」と「バーチャルPPA」の二つだ。これらは、「オフサイトPPA」の一種だ。オフサイトPPAとは、需要家が自社の施設外に再エネ発電設備を設置し、そこで発電した再エネを電力会社を介して購入する手法だ。

需要家にとっては、初期費用が掛からず、発電設備を構える土地を持っていなくてもオフサイトPPAによって再エネの安定調達が期待できる。

補てん費用はトヨタ向けの売上高比で按分へ
50年にライフサイクル全体でのネットゼロ掲げる
再エネ導入量を取引条件に加える可能性も
他メーカーなど競合他社の脱炭素化も促す
スコープ3対策にオフセットは万能ではない

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M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #脱炭素

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