記事のポイント
- JTBは京都音楽博覧会と協業し「文化が『つながる』プロジェクト」を実施
- 文化保全の面からサステナビリティを訴求する体験型の取り組みだ
- 観光公害が山積する京都から課題解決に寄与するアプローチとなるか
JTBはこのほど、10月11日から2日間開催する「京都音楽博覧会2025」と協業し、「文化が『つながる』プロジェクト」を実施する。同イベントでは以前から環境への取り組みを積極的に行ってきた。本プロジェクトでは京都の文化財保全につながるオリジナル御朱印の販売など、体験型の取り組みからサステナビリティを推進する。オーバーツーリズムなどの観光課題が叫ばれる京都の地から、サステナブルツーリズムの新たな視点を発信する。(エシカルライター=宮野かがり)

音楽イベントにおけるサステナビリティと聞くと、キッチンカーにおけるリユース容器の提供や、カーボンオフセット等の脱炭素、サーキュラーエコノミーに関するものが目立つ。京都出身のロックバンド・くるりが主催する京都音楽博覧会は、以前から参加者とともに「資源が『くるり』プロジェクト」を実施するなど、環境配慮型のイベントとして歩みを進めてきた。
19回目の開催となる2025年はJTBと協業し、環境への取り組みに加え、新たに京都の文化の持続可能性を啓発する体験型のアプローチ「文化が『つながる』プロジェクト」を実施する。
文化価値を発信するリーフレットの配布や、京都の廃材を活用したオリジナル御朱印帳の販売、東寺・壬生寺との連携で「音博」限定オリジナル御朱印の提供などを行う。御朱印帳の売上の一部は東寺・壬生寺の文化財保全活動へと充てる。
JTBサステナビリティチームの家弓ひかる氏は、「これまで地域文化を活用した大型イベントの企画・運営や、アイヌ文化の体験等、特定の文化に深く触れる体験型プログラムの提供などを実施してきた。しかしサステナビリティの文脈で体系的に発信することは不十分であったため、今回を機に文化継承についても積極的に発信していきたい」と今回の取り組みの意義を語った。
1200年の歴史を持つ京都は今、オーバーツーリズムの課題に直面する。本プロジェクトが地域文化を未来につなぐ契機となることを期待したい。