株式会社オルタナ(東京・渋谷)と一般社団法人サステナ経営協会(東京・渋谷)は10月4日、「サステナブル★セレクション2024」の三つ星を8件選定した。「サステナブル★セレクション」とは、サステナブル(持続可能)な理念と手法で開発された製品/サービスを選定して、推奨する仕組みだ。審査の結果、淡路島産の有機玉ねぎを使った製品や竹からできた洗剤など8件が選ばれた。(オルタナ編集部)

サステナブル★セレクションは、「全国のサステナブルな製品・サービスを支援し、社会やマーケットでの存在感を高めること」ことを目的として、2020年に立ち上げた。
一つ星は製品/サービスそのものの持続可能性を評価し、二つ星は組織の持続可能性を評価する。三つ星は任意で応募があった二つ星の中から、三つ星選考委員がESG(環境・社会・ガバナンス)の取り組みや社会的インパクトなどを総合的に評価して選定する。
サステナブル★セレクション選定のポイントは、環境や社会問題の解決につながることだ。SDGs(持続可能な開発目標)や脱炭素、サーキュラーエコノミー(循環経済)、格差是正など、サステナブル・エシカル(倫理的)な視点が、製品/サービスや経営に反映されているかどうかが判断基準になる。
2024年の三つ星選考会は10月4日、「第2回サステナブル★セレクションEXPO in東京」の会場内(東京都立産業貿易センター)で行われた。三つ星候補企業がプレゼンテーションを行い、選考委員が評価した。
審査の結果、最終的に一つ星として43件、二つ星として13件、三つ星として8件を選定した。
竹村眞一・審査委員長(京都芸術大学教授)は、「年々、素晴らしい試みが増えているのを実感している。特に社会のOS(オペレーティングシステム)として広がってほしいと思う取り組みが多かった。サステナビリティに関して西洋の基準に沿うだけではなく、日本ならではの価値を高められるような取り組みに期待している」と総評した。
三つ星8件は以下の通り(五十音順)。
・株式会社wash-plus:コインランドリーwash+/wash+ Comfort
洗濯専用アルカリイオン電解水「Wash+Water」を用いたコインランドリー。洗剤を使わずに洗剤と同等の汚れ落ち効果があり、無色・無臭・無刺激でアトピー性皮膚炎や化学物質過敏症に配慮する。ホテルを中心に導入が進み、インバウンドゲストを含むさまざまな需要に応え、地域の水質保全にも貢献している。付属のサポートシステムが、キャッシュレス決済や多言語表示を通して利用者をサポートする。
・エシカルバンブー株式会社: Bamboo Clear(竹洗剤)
天然成分である竹炭、竹炭灰、ミネラルを含んだ湧き水を原料に、自然抽出法で仕上げた洗剤。界面活性剤や香料などの化学物質を一切使わないことで、敏感肌に配慮する。無機物のため、生分解過程がなく排水による環境への影響もない。竹は、山口県内にある約100ヘクタールの放置竹林で伐採したものを活用。伐採することで竹が他の樹木の成長を阻害する「竹害」を防ぎ、森林保全に貢献する。
・株式会社エル・ローズ:hinna ふわリブ オーガニックコットンシリーズ
やわらかい肌ざわりを特徴としたオーガニックコットンインナーを展開。女性特有の不調に寄り添いながら、環境負荷の軽減とエシカル消費を推進する。できるだけ締め付けが少ない設計によって、更年期以降の女性が経験する身体の不調にも応えた。綿花の産地から編立までのトレーサビリティを確保。環境に配慮した紡績や有機農法を通じ、自然への影響を最小限に抑え、生産者の暮らしを支援する。
・コクヨ株式会社:HOWS DESIGN
障がい者をはじめとした社会のバリアに阻まれている方々を「リードユーザー」と位置づけ、その視点や気づきを、モノづくり・コトづくりの企画段階から組み入れるインクルーシブ・デザイン。試作品をもとにリードユーザーとの対話を重ねることで生まれる製品・サービスは、「取り出しやすさ」「視認のしやすさ」などの価値で差異化を打ち出しながら、同時に、社会のバリア解消につながっている。
・サラヤ株式会社:WASH BON
サラヤの「ウォシュボン」は、きめ細やかな泡と天然精油の香りで、手洗いの心地良さを追求したハンドソープブランド。着色料、合成香料、合成界面活性剤、防腐剤は不使用。洗浄成分はヤシの実生まれの植物性で、持続可能なパーム油の生産を支援。売り上げ(メーカー出荷額)の1%はアフリカ・ウガンダの手洗い促進活動に寄付する。
・有限会社新家青果:淡路島産 有機栽培玉葱を原料とした製品
有機栽培の淡路島産たまねぎ。欧州を中心に広がる「GLOBAL-G.A.P」認証を取得し、食の安全性に配慮した管理システムを構築する。化学肥料不使用、手作業による除草、太陽光発電とCO2フリー電力を組み合わせた保管用倉庫により、流通から栽培までのCO2排出量を従来比45%削減した。200件以上の取引先農家とともに、国の「みどりの食料システム戦略」が掲げる「2050年に有機農地25%」実現への一翼を担う。
・株式会社フクシン:ecuvo,
廃棄される服やペットボトルを再生して作った糸やオーガニックコットンを使用した服飾雑貨ブランド。秋冬物には再生ウールと再生ポリエステル、春夏物には廃棄予定の食品から抽出した染料で染めたオーガニックコットンを使用する。永久に修理することも宣言する。国内生産で社内に職人がいることから、こうした対応が実現した。手袋や靴下の片手片足販売も実施する。
・株式会社ロッテ:キシリトール咀嚼チェックガム/咀嚼チェックアプリ
高齢者の口腔機能低下予防が、健康寿命延伸に寄与することが明らかになってきた。ロッテは、噛むことで色が変化し、簡単に咀嚼能力を確認できる「キシリトール咀嚼チェックガム」を開発。合わせて「咀嚼チェックアプリ」を展開し、噛んだ後のガムの画像解析で、咀嚼能力を数値化できるようにした。同社は、噛む習慣を普及させ、人生100年時代のウェルビーイングに貢献することを目指す。