記事のポイント
- UNDPなどが報告書「2025年グローバル多次元貧困指数(MPI)」を公表
- 貧困層が気候リスクにどの程度さらされているかを分析した
- 気温上昇が最も顕著な国は、すでに多次元貧困が深刻な国であると報告した
国連開発計画(UNDP)とオックスフォード大学貧困・人間開発イニシアティブ(OPHI)はこのほど、報告書「2025年グローバル多次元貧困指数(MPI)」を公表した。今回の報告書では、気候リスクと多次元貧困のデータを初めて重ね合わせ、貧困層が気候リスクにどの程度さらされているかを分析した。気温上昇が最も顕著だと予想される国は、すでに多次元貧困が深刻な国であると報告した。(オルタナ輪番編集長・吉田広子)

■ 貧困と気候リスクという二重の負担
MPIは、貧困を「お金の貧困」だけでなく、人がどれだけ「健康的に」「安全に」「尊厳を持って」暮らせているかを測る指標だ。収入だけでなく、教育、健康、生活水準など複数の指標で貧困を評価する。健康面では栄養状態や乳児死亡率、教育面では就学年数や学校出席、生活水準では衛生や飲料水、電力、住居の不足などを評価する。
さらに、報告書は、こうした多次元貧困と気候リスクの「二重の負担」を指摘した。これは、貧困そのものの困難さと、気候リスクによる追加的な困難が同時に人々に影響している状況を意味する。貧困層は、干ばつや洪水、猛暑、大気汚染などの複数の気候リスクに同時にさらされることが多い。
(この続きは)
■ 世界の11億人が多次元貧困に
■コロナ禍以降は貧困の改善が停滞

