■社会から見た企業の役割をSDGs視点で考える(2)
記事のポイント
- 「人権」への対応は日本が国際的に出遅れている課題の一つだ
- だが、実はSDGsの一丁目一番地は「人権尊重」である
- 「ビジネスと人権」に取り組まないことは企業にとって深刻なリスクに
世界経済フォーラムが6月に発表した「世界ジェンダーギャップ・リポート(Global Gender Gap Report)2024」によると、調査対象146カ国の中で日本は118位、G7の中では最下位でした。前回の125位からは少し順位を上げたものの、依然としてジェンダーギャップが大きいことが明らかになりました。この男女格差に代表される「人権」の課題はSDGsで日本が出遅れている分野の一つです。(オルタナ総研所長=町井 則雄)
■「人権尊重」、SDGs全ゴールの根底に
SDGsでは、その前文で「すべての人々の人権を実現する」と明記されています。これは、SDGsの根底に人権尊重の考え方があることを示しており、実際に、17のゴールはすべて人権と関連しています。
日本国内ではSDGsと聞くとどうしてもCO2をはじめとする環境問題に注目が集まりがちですが、SDGsの一丁目一番地は「人権」なのです。この人権を取り巻く課題について、企業が果たすべき役割や企業の持つ可能性について考えてみたいと思います。
ご存じの方も多いと思いますが、1997年にナイキによる児童労働問題が社会問題化、企業活動における人権問題が企業にとって大きなリスクとなるということを世界が知ることとなります。
■ナイキへの不信感、20年経過しても払拭できず
■人権尊重は「企業価値」高める