記事のポイント
- 地球温暖化は、夏の暑さだけでなく、冬の豪雪にも影響している
- 1月下旬の東日本の日本海側の大雪は、温暖化の影響で降水量が9.5%増えた
- 北大の研究グループが極端気象アトリビューションの速報として示した
1月21日から23日にかけて東北から北陸の日本海側の多くの地点で、降雪量が100センチを超えた。この大雪について、北海道大学大学院の佐藤友徳教授ら研究グループが地球温暖化による影響を分析し、極端気象アトリビューションセンターが1月27日、速報として示した。それによると、東日本の日本海側の豪雪は、地球温暖化の影響で、降水量(雪と雨)が9.5%強まった可能性があるという。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

地球温暖化は、冬の豪雪にも影響する。
1月21日から23日にかけて、東北から北陸の日本海側の多くの地点で、降り始めからの降雪量が100センチを超え、石川県(21日)、滋賀県(22日)、福井県(24日)などで「顕著な大雪に関する気象情報」の発表が相次いだ。
北海道大学大学院の地球環境科学研究院佐藤友徳教授ら研究グループは、この極端気象について、地球温暖化の影響がどれだけあったのかを分析した。
豪雨・豪雪や猛暑などの極端気象が、人間活動がもたらす地球温暖化によってどれほど発生しやすくなったか、あるいはどれほど激化したかを科学的・定量的に分析するのが、極端気象アトリビューション(イベント・アトリビューション)だ。
研究グループが1月27日に、「速報的な分析」として示した内容によると、人間活動がもたらした地球温暖化によって、北陸・東北・北海道地方の降水(雨と雪)が強まり、内陸や山沿いの降雪量の増加に寄与した可能性が高い。
東日本の日本海側では、極端な降水(雨と雪)が約9.5%、地球温暖化によって増加し、気温が低いため、内陸や山沿いでは、降水はほぼ雪として降ったとの見解を示した。
■温暖化で積雪は減るが、短時間に降る大雪は一部で増える
気象庁・気象研究所の応用気象研究部第一研究室で、『日本の気候変動2025』(気象庁・文部科学省)の執筆にも携わった川瀬宏明室長は、「地球温暖化の進行に伴い、東日本や西日本の日本海沿岸部で積雪は減少している。温暖化が進むとさらに減少する予測」だと説明する。
直近10年間(2015年~2024年)で一日の降雪量が20センチ以上だった日数は、1962年から1971年の10年間と比較すると、東日本と西日本の日本海側ではいずれも半減している。東日本の日本海側では、年間約3.9日だったのが、直近では約1.9日だ。
「一方、温暖化が進行すると、短時間に降る大雪(極端日降雪量)は、北陸の内陸部や北海道で増加する予測」だと話す。
「我々もイベント・アトリビューションによって昨年の大雪が増加したと分析しており、引き続き大雪には備えてほしい」とコメントした。
■大雪を降らせる「JPCZ」の予測も進む
わずか数時間のうちに大量の「ドカ雪」をもたらす気象現象として、昨今、天気予報などで頻繁に言及されるのが、風と風がぶつかり合ってできる帯状の雪雲「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」だ。
JPCZは、短時間で大雪になることが特徴だが、九州大学大学院理学研究院の川村隆一教授は、「大雪の原因をすべてJPCZに帰するのも問題だ」と話す。
「日本海の海面水温が高いとJPCZが強まると一般に思われているが、高い海面水温の海域がどこに分布するのかによって、逆にJPCZが弱化することもわかっている」という。
地球温暖化が進行する中でも、局地的豪雪で深刻な被害が頻繁に発生しており、川村教授は、同大学の川野哲也助教らとともに、2023年5月、JPCZに伴う日本海側の降水量の将来変化を予測した。国内初の予測だ。
その研究結果によると、化石燃料依存型の発展を続けて排出抑制等の気候政策がなされないシナリオ下では、JPCZの発生頻度に今と将来とで大きな変化はないものの、JPCZが発生する地理的位置は顕著に北部に偏ることが見出された。
その結果、北陸内陸部を中心に降雪量は減少するが、その一方で、東北地方の内陸山岳部ではむしろ降雪量が増加傾向になるという。また降雨量は、東北地方の日本海側で増加するという。
豪雪被害の軽減には、降雪量の短期予測の精度向上も重要だが、川村教授は、「局地的豪雪の発生頻度・傾向などの長期予測の研究が進むことで、減災・防災の観点はもちろん、将来の水資源確保の観点でも、山岳域の水資源の将来予測について、その不確実性を低減することに役立つ」とコメントした。



