記事のポイント
- オルタナは1月21日、サステナ経営塾第21期下期第4回を開いた
- 第3講では、ワークショップ「自社における人権課題の洗い出し」を行った
- 人権対応について異なる業界の他社事例を知ることで理解を深めることが狙い
オルタナは1月21日、サステナ経営塾第21期下期第4回を開いた。第3講では、ワークショップ「自社における人権課題の洗い出し」を行った。受講生約40人が各グループに分かれて、自社の人権対応の取り組みや課題を話し合った。サステナ経営塾には多様な業界から受講生が参加しており、異なる業界の他社事例を知ることで理解を深めることが狙いだ。当日のレポートは下記の通り。

・このワークショップの講師は、オルタナ代表の森摂が務めた。森は、人権が環境問題と同様に企業経営の中核的課題であることを強調し、2011年の国連「ビジネスと人権に関する指導原則」から始まる国際的な流れを説明した。この指導原則は、第7代国際連合事務総長の故コフィー・アナン氏の4つの贈り物の一つだと話した。ほかの3つは、「国連グローバルコンパクト」「MDGs」「国連責任投資原則(PRI)」である。
・人権侵害を受けやすいのは、「高齢者、女性、障がい者、移民労働者、先住民族、宗教、民族、セクシュアルマイノリティー、子ども」などだが、森は「皆さんの同僚も影響を受けやすいグループに所属していると認識していただきたい」と強調した。パワハラ、セクハラ、メンタルヘルスなど具体的な課題を指摘した。
・日本は人権への対応として、2020年10月に国別行動計画(NAP)を発表した。だが、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」が策定されてから9年後で、先進国の中でも対応が遅れていることを説明した。上場企業の約7割が人権方針を策定し、5割強が人権デューディリジェンスを実施しているという統計(2021年)を紹介した。一方、外部ステークホルダーの関与は3割にとどまる現状を説明した。
・EUは2024年に売上高が一定以上の企業に環境や人権に関するデューディリジェンスを義務付けるCSDDD(コーポレート・サステナビリティ・デューディリジェンス指令)を発効し、人権デューデリジェンスの法制化の動きが強める。日本の経済産業省も「サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」を発表したことを紹介した。
・森の講義後には、受講生は4~6人に分かれてグループワークを行った。自社の人権課題と取り組み状況について議論した。グループワークで出た主な課題は、「部門間連携の課題」「サプライチェーン全体での人権リスク管理」「社内啓発」――の3つだ。
・ワークショップで出た主な意見は次の通り。
「人権対応を推進するためには部署間の役割分担が難しい」
「サプライチェーンの約100社にアンケートを実施したが、大企業は取り組みが進んでいる一方で、中小企業では従業員10人程度の企業もあり、対応が困難な状況があった」
「人権に関しては人事部、ガバナンスに関してはコーポレートガバナンス担当部門、環境に関しては環境部、AIに関してはAI倫理担当部門とかなり縦割りになっている。EUの規制に対しては、サステナビリティ部門が担当だが、他部署からは、『サステナのために人権をやっているわけではない』という意見もある」
「社内で人権を推進するには啓発活動から取り組むことが、重要なポイントだと思う。社内向けのニュースレターやメルマガを配信し、そもそも人権とは何かという基礎的なことから伝えていく。まずは理解されやすくなるための土壌をつくり、そこから施策を実施していきたい」



