大手コンビニ3社、恵方巻の売れ残り調査で明暗分かれる

記事のポイント


  1. 毎年の食品ロス調査の一環で、大手コンビニ3社の今年の恵方巻の売れ残りを調べた
  2. 本調査は今年で8回目だが、依然セブンイレブンが最も売れ残りが多かった
  3. その一方で、ローソンは完売率90%超と、食品ロス対策の成果が見えた

セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの大手コンビニ3社で、今年で8回目となる恵方巻の売れ残り調査を実施した。セブンイレブンが依然として、最も売れ残りが多かった一方で、ローソンは完売率90%超と、食品ロス対策の成果が見えた。民間企業の過剰発注による売れ残り商品は、多くの自治体で税金も投入して焼却処理をされるため、この結果は恵方巻を買わない人にとっても関係がある。(オルタナ客員論説委員=井出留美)

処分される売れ残った恵方巻(撮影:日本フードエコロジーセンター)
処分される売れ残った恵方巻(撮影:日本フードエコロジーセンター)

筆者は53人のボランティアとともに、2026年の恵方巻の売れ残りと、過去8年間の食品リサイクルセンターへの納入量の変化を調査した。この調査は2019年に始め、今年で8回目となる。

以下の通り、調査を実施した。

調査日時:2026年2月3日(火)21時から24時
調査対象:大手コンビニエンスストア(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン)373店舗
調査地域:1道1都12県(北海道、岩手県、千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県、富山県、長野県、愛知県、三重県、奈良県、広島県、宮崎県、沖縄県)
調査者数:53名
調査方法:商品棚に残っている恵方巻の本数を商品ごとに数え、売れ残り本数と売れ残り金額を算出する

■最も売れ残りが多かったのはセブンイレブン

大手コンビニ3社の373店舗合計で、売れ残り本数は1947本、売れ残り金額は119万45円となった。

これまでの傾向と変わりなく、セブンイレブンが最も多く、次いでファミリーマート、ローソンという結果だった。

セブンイレブンの売れ残り(調査データをもとに長谷拓海氏制作)
セブンイレブンの売れ残り(調査データをもとに長谷拓海氏制作)
ファミリーマートの売れ残り(調査データをもとに長谷拓海氏制作)
ファミリーマートの売れ残り(調査データをもとに長谷拓海氏制作)
ローソンの売れ残り(調査データをもとに長谷拓海氏制作)
ローソンの売れ残り(調査データをもとに長谷拓海氏制作)

3社のデータから推計すると、コンビニだけで、全国で1億7,883万8,559円相当の恵方巻の食品ロスが出ている計算だ。

セブンイレブンの関係者より入手したデータによると、2026年の恵方巻の目標として、金額で対前年比117%、数量で112%をめざしていたという。しかし、2025年の節分では深夜23時台に、ある店舗で約70本が売れ残っていた。にもかかわらず、それよりもっと多く作って売ろうというのは不思議な話だ。

■完売率・売れ残り本数の少なさはローソン

大手コンビニ3社の1店舗当たりの売れ残り本数(金額)を算出したところ、セブンイレブンで9本(5587.4円)、ファミリーマートで3本(1950.8円)、ローソンで1本(696.0円)だった。

完売率はローソンで93.1%ともっとも高く、売れ残り本数でもローソンが最も少ない傾向を示した。

ローソンの完売率は93.1%だった
ローソンの完売率は93.1%だった

■過去8年で食品ロスは減少傾向に

2019年から2026年までの8年間、食品リサイクルセンターである株式会社日本フードエコロジーセンター(神奈川・相模原市)に搬入される食品の量はどう変化したか。

日本フードエコロジーセンターから、節分の日に関して、取引先3企業による、恵方巻を含む米飯類搬入量のデータを送っていただいた。同社の髙橋巧一代表取締役によれば、季節商品の中でも、クリスマスケーキやウナギなどと比べて、恵方巻のロスは量を特定しやすいという。

日本フードエコロジーセンターでデータをまとめていただいた高原部長によれば、節分の日の搬入は、前後の日と比べて例年多くなっており、それでも2026年は減少傾向にあるとのこと。同社では、製造量の予測精度が上がったことや、原料の高騰により販売量よりも売れ残り削減が優先することがあると推測している。

節分の日、日本エコロジーセンターに搬入された、恵方巻を含む米飯類の量の推移(日本エコロジーセンターのデータをもとに筆者制作)
節分の日、日本エコロジーセンターに搬入された、恵方巻を含む米飯類の量の推移(日本エコロジーセンターのデータをもとに筆者制作)

■「完売」と「大量売れ残り」で二極化傾向に

調査エリアによっては21時には売り切れている一方、売れ残りの多い店舗も少なくはなかった。22時、23時台といった日付が変わる前でも50本以上残っている店舗があり、「衝撃を受けた」とのコメントも調査した方から送られてきた。

「完売」と「大量売れ残り」といったように、二極化する傾向が見られた。

また、ファミリーマートの「涙目シール」は話題になったが、恵方巻に貼ってあるものは沖縄県でのみ見られた。ほかの13都道府県の店舗では、おにぎりに貼られたものが目立った。

ローソンは、調査店舗101店舗でほぼ完売だった。ただし、ほんの少数の店で大量に売れ残っていたことで売れ残り数が増える形となった。一部の店で納入量をコントロールすることで、完売率100%も実現可能だと考える。

どの企業でもサラダ恵方巻の売れ残りが多く、これは2025年、2024年でも同様の傾向が見られた。セブンイレブンでは436本、ファミリーマートでは87本、ローソンでは45本残っていた。顧客側からすれば、せっかく高額な恵方巻を食べるなら、海鮮や和牛など、肉や魚の入った恵方巻を食べたいと思う気持ちがあるのではないか。

■過剰発注による売れ残りの処分には税金まで使われる

セブン-イレブン・ジャパンは、毎年、3企業の中で最も多く売れ残りを出している。2025年の節分の夜23時台にある店舗では70本残っていた。

2026年も、恵方巻の目標として金額ベースで対前年117%、数量ベースで112%を目指していた。2025年も廃棄が出ており、それを上回る数値目標を立てるのは食品ロスにつながる。

その処理費用は、本部ではなく、そのほとんどを店舗が負担し、しかも納税者が納めた税金まで使われる。3社とも、毎年少しずつロスが削減されてきているので、来年はさらに減らしていただきたいと強く願う。

またどの企業も、毎年、サラダ恵方巻が売れ残る傾向が見られた。アイテムの中で、サラダ恵方巻の数量をもっと絞るのがよいのではないだろうか。

■予約制で売れ残るはずのない商品も売れ残った

農林水産省は、小売企業に対し、需要に見合った方策を呼びかけており、その中には予約制もある。だが、予約制なら売れ残るはずのない高価格帯の商品が毎年売れ残っていた。

セブンイレブンの「うなぎと玉子の恵方巻」は合計90本残っていた。調査した人からも「顧客不在で予約したのが見てとれた」とのコメントがあった。

コンビニ関係者によると前年12月に本部から加盟店に数量を出すよう指示が来るとのこと。客が予約しないうちに数量を決めてしまっているのでは「予約制」とは言えない。節分前の呼びかけだけでなく、実際の食品ロスがどうだったかまで検証してほしい。

※この記事は、執筆者が2026年2月8日に「Yahoo!ニュースエキスパート」に掲載した記事をオルタナ編集部にて一部編集したものです。執筆者による過去の「Yahoo!ニュースエキスパート」記事はこちらから、執筆者のニュースレター「パル通信」はこちらからメールアドレスをご登録いただくことで無料でお読みいただけます。

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井出 留美(オルタナ客員論説委員)

ジャーナリスト。奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力。著書『私たちは何を捨てているのか』『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』『SDGs時代の食べ方』『食べ物が足りない!』他。食品ロスを全国的に注目されたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞など受賞。

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キーワード: #食品ロス

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