記事のポイント
- スーパーホテルでは、「CO2実質ゼロ泊」を全宿泊者向けに展開
- 宿泊に伴い発生するCO2(スコープ1,2)を実質ゼロに
- 国内大規模チェーンでは初の取り組みで、業界の脱炭素化をけん引へ
スーパーホテルでは、宿泊に伴い発生するCO2(スコープ1,2)を実質ゼロにする、「CO2実質ゼロ泊」を全宿泊者向けに展開する。国内大規模チェーンでは初の取り組みで、「泊まること自体が環境貢献になる」サービスだ。観光業界全体の脱炭素化をどうリードしていくのか、その戦略を同社経営品質本部サステナビリティ推進室の三浦留奈・課長代理が語った。(聞き手・オルタナ輪番編集長=池田真隆)

※スーパーホテルの「CO2実質ゼロ泊」は、オルタナとサステナ経営協会が共催する「サステナブル★セレクション2025」の三つ星に選ばれました。
※「サステナブル★セレクション」とは、サステナブル(持続可能)な理念と手法で開発された製品・サービスを選定し推奨する仕組みです。
一つ星(★)は、製品・サービスが、持続可能な社会づくりに貢献していることを表します。
二つ星(★★)は、★に加え、企業・組織がサステナブル経営に取り組んでいることを表します。
三つ星(★★★)は、★★の中から特に大きな社会的インパクトを生み出していることを表します。
サステナブル★セレクション公式ページはこちら
――従来の「ECO泊」から「CO2実質ゼロ泊」へ拡大した経緯を教えてください。
宿泊に伴い発生するCO2をカーボン・オフセットの手法で実質ゼロにする「ECO泊」は2010年から取り組んできましたが、公式サイト予約やPremier店舗に限定されており、対象は限られていました。
そこで、より多くのお客様にスーパーホテルの環境への想いを知っていただき、環境活動へ参加していただく為、全宿泊を対象とした「CO2実質ゼロ泊」へと進化させました。

――全店舗・全宿泊への展開は、大きな決断だったと思います。
はい。この取り組みを「全宿泊に広げよう」と最初に言ったのは会長の山本梁介でした。カーボン・オフセット付きの宿泊プラン自体は他社でもありますが、全国展開するホテルチェーンが標準として実施することに意味があると考えました。
私たちはエコ・ファースト企業として、業界の中でも先進的な挑戦を続けていく責任があると思っています。
■環境配慮そのものを一つの価値に
――業界へのインパクトも意識されているのでしょうか。
そうですね。公式サイトだけでなく、OTA(インターネット上の旅行代理店を通じて、ホテルや旅館、航空券などを予約・決済するサービス)経由で予約されるお客様もいらっしゃいます。ご宿泊者すべての方々にスーパーホテルの環境活動に参加していただき、さらなる環境負荷低減につなげていきたいと考えています。
全宿泊を対象にすることで、環境配慮そのものを一つの価値として提示できるようになったと思います。
――実際にお客様からはどのような反応がありますか。
スーパーホテルの環境活動に興味を持ってくださるお客様からは、「CO2ゼロで泊まれるのは気持ちいい」「そんな取り組みをしているとは知らなかった」という声をいただいています。
ただ、正直に言うと、まだすべてのお客様に十分伝わっているとは言えません。カーボン・オフセットや再生可能エネルギーについて、さまざまな接点で分かりやすく伝えていくことが今後の課題です。
■欧米ではサステナブルツーリズムの盛り上がりも
――脱炭素への取り組みと、ホテル選択の関係性についてはどう考えていますか。
現時点では「脱炭素だから選ぶ」という段階ではないと思います。ただ、環境に配慮していて、地域のものを使い、滞在していて気持ちがいいホテルであることが、結果として地球にも優しい。
そうした価値を積み重ねていきたいと考えています。欧米ではサステナブルツーリズムが選ばれる流れがありますし、将来的には日本でも重要な選択基準になっていくと考えています。
――認知度については、どのように把握されていますか。
お客様からいただくアンケートの中で、コンセプトにまつわるコメントに注目しています。今後は、ますます多くのお客様からコンセプトや環境活動への共感のお声をいただけるよう、訴求力を高めていくことを目標としております。
――2043年のカーボンニュートラル目標において、CO2実質ゼロ泊は重要な位置づけですね。
はい。ホテルから排出されるCO2の多くは電気・ガス・水道です。そこを実質ゼロにできたことは非常に大きな一歩です。政府目標より7年早い2043年の達成を掲げていますが、長年環境に取り組んできたエコ・ファースト企業として、先んじて実行することに価値があると考えています。

――顧客参加型の施策としては「エコひいき」も印象的です。
歯ブラシを返却するとお菓子と交換できるなど、お客様が「自分で行動する」仕組みは非常に反応が良いです。実は、CO2実質ゼロ泊よりもエコひいきの方が認知度は高い。行動変容を促すには、参加している実感が重要だと感じています。
■ホテル滞在をきっかけに、行動変容促したい
――今後の展開について教えてください。
今後は排出量や削減量の見える化に取り組むと共に、いかにお客様と一緒になってポジティブに環境活動に取り組めるかが重要になってくると思います。
ホテルでの滞在をきっかけに、日常の行動変容につなげていけたら理想ですね。
――最後に、この取り組みを通じて目指す姿を教えてください。
スーパーホテルに泊まることで、「環境に貢献できて、気持ちがいい」「ちょっと意識が変わった」と感じていただける存在になりたいです。
CO2実質ゼロ泊はゴールではなく、そのきっかけ。環境と地域、そして人が元気になるホテルであり続けたいと思っています。



