記事のポイント
- ENEOSグループは2025年4月、FP&A(財務企画・分析)組織を設立した
- 組織はグループも含め、ROIC管理を通じた収益改善とガバナンス強化を図る
- 継続的な低収益性を改善し、ポートフォリオ転換を目指すのが狙いだ。
ENEOSグループは、統合レポート「ENEOS REPORT 2025」のトップメッセージの中で、宮田知秀代表取締役社長が、「筋肉質な経営体質に転換し、ポートフォリオ再編を進めることで、企業価値の最大化を実現します」と明言しました。実現に向け「徹底的な見える化」を通じたROIC(投下資本利益率)の改善を進めるため、2025年4月、FP&A(財務企画・分析)組織を設立しました。グループも含め、ROIC管理を通じた収益改善とガバナンス強化を図り、継続的な低収益性を改善し、ポートフォリオ転換を目指します。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

ENEOSグループの営業利益は2024年度時点で4293億円であり、うち約70%を石油製品、化学品等の基盤事業が占めます。これを2040年度までに9000億円まで拡大し、基盤・素材事業とカーボンニュートラル社会の実現に向けたバイオ燃料等の低炭素ならびに再生可能エネルギーの脱炭素事業がおおむね同等の割合となるようなポートフォリオへの移行を目指します。
第4次中期経営計画(2025~2027年度)の基本方針に「筋肉質な経営体質への転換」を掲げ、「徹底的な見える化を通じたROICの改善」を進めます。
そのために2025年4月、CFO(最高財務責任者)のもと、FP&A(Financial Planning & Analysis、財務企画・分析)組織を設立しました。
経営戦略策定や具体的な施策決定に向け、財務や会計の分野から必要な情報を提供し、経営者の意思決定を支援する組織です。
FP&A組織設立の契機は、「継続的な低収益性・PBR(株価純資産倍率)1倍割れへの危機感」「データに基づく事業改善に対する課題意識」です。
「徹底的な見える化を通じたROICの改善」を進め、基盤事業で稼ぐ力を向上させ、ここから生み出されたキャッシュを新たな価値創造につなげる、すなわちポートフォリオを転換することが、FP&A組織設立の目的です。
FP&A組織の役割は、事業単位別ROICにとどまらず、 資本効率・戦略適合性の観点からグループ会社(グループ連結対象会社は2025年3月末時点で651社)を定期的に評価し、評価結果に基づきグループ会社の組織・体制を再構築するとともに、ROIC管理を通じた収益改善とガバナンス強化を図ると統合報告書で述べられています。
欧米の企業では最高財務責任者であるCFOの下にファイナンス組織があり,経理・財務・税務・内部統制等はもちろん,管理会計全般(FP&A)も担当するのが一般的です。
日本の企業では、キリンホールディングス、花王、丸井、味の素、リクルート、富士通などが、FP&A機能を取り入れたり、組織を立ち上げたりしています。
2025年4月に設立されたENEOSのFP&A組織ですが、次回の統合報告書では、進捗状況ならびに課題について、グループも含めて開示されたらいかがでしょうか。



