【インタビュー】
ラッシュ創立者・マネージングダイレクター
マーク・コンスタンティン氏
「ラッシュで働くことは、社会を良くする運動に参加しているということ」と話すコンスタンティン氏。
─―難民問題や捕鯨問題など政治的な課題について社会に疑問を投げかけることは、時に反発を生むこともあります。それでもラッシュのビジネスが成長できるのはなぜでしょうか。
社会や文化によって、こういう姿勢を許容するかどうかは変わります。日本では珍しいことかもしれません。でも福島の原発事故の後、日本社会もおかしいと感じたことには声を上げるという風に変わってきたと思います。
企業経営とこうした社会課題の解決の両立は可能です。
─―世界49カ国に展開する企業のトップとして、Brexitやトランプ政権の誕生についてはどう考えますか。
本当に残念です。この国がそういう選択をするとは思いませんでした。ヨーロッパ各国は一致団結して、この内向きのグローバリゼーションを止めるべきです。
ラッシュは、ヨーロッパの企業であり、世界に展開するグローバル企業です。英国企業という小さい規模で世界情勢を捉えることはありません。
私たちも、企業としてできることをしていきます。ラッシュの理念にも「すべての人に移動の自由がある」という文言を約20年ぶりに新たに追加するんですよ。
イギリスは暮らすには良いところですが、色々な課題があります。
─―2015年から英国で店長会を開催し、人材育成に大きな投資をしています。3番目に市場が大きい日本の社員にも、ラッシュのブランドがどんなものかが伝わってきていると思います。
そうですね。でも、まだ満足はしていません。言語の違いもあり、すべて伝わっているとは言えないからです。
100人以上の日本人社員がサミット会場を回っていますが、経営陣が登壇するメインステージ以外の会場では通訳がないです。
社員がラッシュというブランドを本当に理解するまで、この体験型の店長会を辛抱強く続けていくつもりです。今は、待っているところです。
―─SDGs(持続可能な開発目標)などの影響もあり、「サステナビリティ」がビジネスのキーワードになっています。これからも長くラッシュが続いていくために大切なことは何でしょうか。
まず社員と家族です。店長を含め社員を育てること。それから、ラッシュはファミリービジネスです。私の3人の子どもは、調達やブランディングの責任者を担っています。
サステナブルであろうとするよりも、自分たちがすでに持っている人や地球環境、資源を生かしながら前に進んでいく「リジェネレーション(再生)」が大切だと考えます。それが、ひいてはビジネスや環境にとってのサステナビリティにつながるでしょう。
マーク・コンスタンティン
1952年、ロンドン南部サットンに生まれる。美容室で勤めた後、80年代からハーブを使った美容製品の販売を始める。ザ・ボディ・ショップのメインサプライヤーでもあった。88年に通販会社「Cosmetics to Go」を立ち上げたが事業に失敗。当時の仲間と95年に、ラッシュを創設。「動物実験を行わない」などの倫理的な調達方針に基づき、人をハッピーにするカラフルな石鹸や入浴剤を販売。現在、世界49カ国に展開する。
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