記事のポイント
- 社会起業家の支援を行うアショカは2人の新フェローを紹介した
- 一人目は、産後ケアに取り組んできたNPOの代表
- 二人目は、児童ポルノ問題などを取材するジャーナリストだ
社会起業家の支援に取り組むアショカ・ジャパン(東京・港)はこのほど新しい日本人のフェローに吉岡マコ氏と渡辺周氏を認定したと公表した。新フェローとなった吉岡氏は日本で初めて産後期に関するホワイトペーパーを作成した。渡辺氏は児童ポルノや盗撮画像のネット売買の実態などを取材してきた。(オルタナ編集部=萩原 哲郎)

アショカは1980年に米国の社会起業家であるビル・ドレイトン氏が設立した団体だ。社会問題の解決に向け、本質的な取り組みを行う社会起業家を「アショカ・フェロー」として認定している。2025年2月時点で世界に4000人弱のフェローがいる。アショカ・ジャパンは、渡邊奈々氏が2011年に東アジア初の拠点として、都内に設立した。
「アショカ・フェロー」の選考基準のポイントは、ひとつの学校や村などでの成功ではなく、ほかの数千、数万の同じような学校や村の向上を促すポテンシャルのある取り組みであるかだ。
具体的に選考基準は5つある。一つは、新しい視点から生まれた発想であること。二つ目は、「創造性と想像力」。「アントレプレナー精神と気質」、「拡散性と模倣可能性」に加え、最後が、「人となり」だ。
たとえば、インドのNGO「IMPULSE NGO Network」は人身売買被害者の救出支援に取り組んできた。そのノウハウを、インド国内だけでなく、北ベンガルやバングラデシュなどに導入した。支援総数は7万3千人超に及ぶ。
■吉岡氏は「産後ケア」や「産後うつ」を広めた当事者
今回、日本人として新フェローに認定されたのは、産後支援に取り組んできた吉岡マコ氏とジャーナリストの渡辺周氏の二人だ。
吉岡マコ氏は産後女性の心身のケアに取り組む。活動の年数は25年に及ぶ。特定非営利活動法人マドレボニータ(東京・渋谷)の創設者で、現在はシングルマザー支援を行うNPO法人シングル・マザーズ・シスターフッドの代表だ。
吉岡氏は、日本で初めて「産後期」に関するホワイトペーパーを作成した人物だ。政策にも影響を与えた。今では、「産後ケア」や「産後うつ」という言葉は広く社会に浸透しているが、草の根で普及活動に取り組んできた。
渡辺周氏は探査報道特化メディア「Tensa」の編集長だ。同社はNHKと児童ポルノや盗撮画像のネット上での売買について共同取材を行った。関西の生コン産業の労働組合への不当な逮捕・拘留についても取材してきた。