記事のポイント
- 9月13日は「国際遺贈寄付の日」だ
- この日に合わせ、全国レガシーギフト協会が「遺贈寄付ウィーク2023」を展開
- 遺贈寄付についての理解を深め、遺贈寄付の準備を推奨するのが目的だ
9月13日の「国際遺贈寄付の日」に合わせ、全国レガシーギフト協会(東京・港)が「遺贈寄付ウィーク2023」を9月17日まで開催している。遺贈寄付についての理解を深め、遺贈寄付の準備を推奨するのが目的だ。遺贈寄付で最も有名なのがノーベル賞だが、故人の思いを形にする冠基金は日本でも徐々に広がっている。(オルタナ副編集長=吉田広子)
全国レガシーギフト協会によると、「遺贈」とは、遺言によって、財産の全部または一部を法定相続人または法定相続人以外の人(自然人または法人)に無償で譲渡(贈与)することを指す。同協会では、遺言による寄付(遺贈)に加えて、相続財産の寄付、信託による寄付――の3つを総称して「遺贈寄付」と呼んでいる。
年間相続市場はおよそ50兆円と推計され、そのうち1%でも遺贈寄付されれば、5000億円が社会課題の解決に取り組む非営利組織の活動に役立てられることになる。
遺贈寄付の例として最も有名なのが、ノーベル賞だ。ダイナマイトを発明し、巨万の富を得たスウェーデンの科学者アルフレッド・ノーベルは、財産で基金を設立し、人類のために最大の貢献をした人々に分配するように遺書に残した。その結果、ノーベル賞が生まれた。
遺贈寄付ウィークのキャンペーンサイトでは、遺贈寄付にまつわるストーリーを紹介している。
例えば、がんで余命宣告を受けたAさんは、日本対がん協会(東京・中央)の活動を知り、全財産を寄付することを決めた。自筆の遺言書を書いた時、「やっと安心できた。託す先ができたから」と看護師に話したという。
環境問題に関心の高かった姉が遺した財産を国際環境NGOに寄付した例もある。もともとグリーンピース・ジャパン(東京・港)に毎月寄付を続けていた姉の思いを継いだ形だ。
1型糖尿病をはじめ毎日のインスリン補充を必須とする患者・家族の支援を行う認定特定非営利活動法人日本IDDMネットワーク(佐賀市)は、法人・個人を問わず、名前を入れた冠基金を創設している。
同NPOは、1型糖尿病を「根絶」するための研究に対して、基金を設立し、助成を行っている。これまで「由地敏廣 エンジョイ!基金」や「山田和彦1型糖尿病根治基金」などを立ち上げた。
非営利組織の組織評価を行う日本非営利組織評価センター(東京・港)は、全国レガシーギフト協会と連携し、遺贈寄付を推進している。同団体のウェブサイトでは、組織運営やガバナンスが一定水準以上の「グッドガバナンス認証」を取得した受遺団体を紹介している。