記事のポイント
①9月13日は「国際遺贈寄付の日」(International Legacy Giving Day)
②全国レガシーギフト協会(東京・港)が「遺贈寄付ウィーク2022」を19日まで開催
③ノーベル賞や米ジョンズ・ホプキンズ大学も遺贈寄付によって誕生した
9月13日の「国際遺贈寄付の日」(International Legacy Giving Day)に合わせ、全国レガシーギフト協会(東京・港)が「遺贈寄付ウィーク2022」を19日まで開催している。遺贈寄付についての理解を深めてもらい、遺贈寄付の準備を推奨するのが目的だ。実はノーベル賞や米ジョンズ・ホプキンズ大学も遺贈寄付によって誕生したものだ。(オルタナ副編集長=吉田広子)

全国レガシーギフト協会によると、「遺贈」とは、遺言によって、財産の全部または一部を法定相続人または法定相続人以外の人(自然人または法人)に無償で譲渡(贈与)することを指す。同協会では、遺言による寄付(遺贈)に加えて、相続財産の寄付、信託による寄付――の3つを総称して「遺贈寄付」と呼んでいる。
故人の思いを形にするだけではなく、節税対策になるというメリットもある。
遺贈寄付の事例として最も有名なのが、ノーベル賞だ。ダイナマイトを発明し、巨万の富を得たスウェーデンの科学者アルフレッド・ノーベルは、財産で基金を設立し、人類のために最大の貢献をした人々に分配するように遺書に残した。その結果、ノーベル賞が生まれた。
新型コロナウイルスの世界の感染者マップなどで知られる米ジョンズ・ホプキンズ大学も、実業家のジョンズ・ホプキンズ氏の遺贈寄付で設立された。
日本では、遺贈寄付の全体を網羅した正確な統計はないものの、同協会とファンドレックスが遺贈にかかわる担当者120人超を対象に実施した「遺贈寄付の実態調査2022」によると、遺贈への関心は少しずつ高まっているようだ。
遺贈の受入表明をしている回答のうち、2020年に対して2021年の問い合わせ件数は「(やや/かなりを含む)増えた」が36%に上った。
全国レガシーギフト協会事務局長の小川愛さんは、「生涯未婚率が高くなっているなか、相続人がいない場合、自分の意志で財産を社会に役立てたいと思う人は増えている」と話す。
全国レガシーギフト協会は「遺贈寄付ウィーク」の一環で、9月17日にオンラインセミナーを開催する。「古田敦也さんが語る遺贈寄付への思い」のほか、受遺団体等非営利団体の紹介、ミニ講座として「遺贈寄付とは?――遺贈寄付の基礎知識」などをユーチューブで無料配信する。
NPOなど非営利組織の組織評価を行ってきた非営利組織評価センター(東京・港)は、全国レガシーギフト協会と連携し、遺贈寄付を推進。ウェブサイトでは、組織運営やガバナンスが一定水準以上の「グッドガバナンス認証」を取得した受遺団体を紹介している。