記事のポイント
- 11月10日からブラジル・ベレンでCOP30が開催予定だ
- パリ協定からの離脱を宣言した米国からは、州知事・市長ら100人超が現地入りした
- 全米最大の気候有志連合「アメリカ・イズ・オール・イン」を中心に、気候変動対策を進める
11月10日からブラジル・ベレンで国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)が開催予定だ。トランプ大統領がパリ協定からの離脱を宣言した米国からは、全米最大の気候有志連合「アメリカ・イズ・オール・イン」を中心に、州や市政府などの地方指導者ら100人超が米国代表団として現地に入った。すでに世界各国の都市の市長らと気候変動対策推進に向けた話し合いが進んでいる。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

米国はトランプ大統領がパリ協定からの離脱を宣言しており、10月31日には「米連邦政府はCOP30に政府高官を派遣しない」と発表した。
しかし、トランプ政権下でも気候変動対策を進める、全米最大の気候有志連合のアメリカ・イズ・オール・イン(AIAI)、気候変動対策市長連合、米国気候同盟は10月30日、100人以上の地方指導者で構成する米国代表団をCOP30に派遣すると発表した。
AIAIは、ブルームバーグ・フィランソロピーが支援し、世界自然保護基金が主導するイニシアチブだ。マイクロソフト、ウォルマート、スターバックス、ナイキなど3000超の企業(投資団体を含む)のほか、ニューヨークやカリフォルニアなど10州、368の地方自治体、ハーバード大学やコロンビア大学など431の教育機関などが参画する。AIAIによると、全米人口の3分の2、米GDPの74%を代表するという。
2017年6月にトランプ大統領(当時)がパリ協定からの離脱を発表すると、米国内で「ウィー・アー・スティル・イン(私たちはパリ協定にとどまっている)」という民間イニシアティブが生まれた。このイニシアティブが発展したものが、「アメリカ・イズ・オール・イン」だ。
AIAIなどの代表団は10月下旬、COP30で議長を務めるアンドレ・コヘーア・ド・ラーゴ大使やアナ・トニCOP30事務局長と会談し、地球規模の気候対策への協力へのコミットメントを伝えた。
AIAIの共同議長を務めるジーナ・マッカーシー元環境保護庁(EPA)長官は、「連邦政府が国の最善の利益のために行動を起こせないなら、AIAIは全力でブラジル(COP30)に参加する用意がある。その意思と能力のある米国の指導者たちを集めるために立ち上がっている。私たちは、米国国民と国際的なパートナーたちに対して行った約束を必ず果たす決意だ」とコメントした。
すでに、州や市政府などの地方指導者ら100人超が米国代表団として現地に入っており、世界各国と協調して気候変動対策の議論を前に進めている。
ご参考:米国の気候有志連合、「トランプ政権でも決して後戻りしない」
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