記事のポイント
- 「Re&Go」や「Loop(ループ)」などリユース容器ビジネスの撤退が相次ぐ
- 高度な資源循環を狙う事業の確立には、ボーナス・マルスの考え方が重要だ
- キリンやネスレ日本など有志企業8社がこの考えの導入を求め法改正を訴え
リユース容器向けのシェアリングサービスの撤退が相次ぐ。スターバックス コーヒー ジャパンは12月2日、店外へ持ち出し可能なリユースカップ「Re&Go」の貸出サービスを来年1月で終了すると発表し、今年6月には、食品や化粧品容器のリユースサービスを提供する「Loop(ループ)」も国内での事業展開を終了した。リユースなど高度な資源循環を狙う事業を確立するには、フランスなどが環境政策に取り入れている「ボーナス・マルス」という考え方が重要だ。今年10月には、キリンやユニ・チャーム、ネスレ日本など有志企業8社がボーナス・マルスの考えを環境政策に取り入れるよう、環境省に法改正を訴えた。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

スターバックス コーヒー ジャパンは12月2日、店外へ持ち出し可能なリユースカップ「Re&Go」の貸出サービスを来年1月で終了すると発表した。
Re&Goは、NISSHAとNECソリューションイノベータが提供する容器のリユースサービス。店内だけでなく、店外への持ち出しも可能にした点が特徴だ。スターバックス コーヒー ジャパンでは、脱プラスチック対策の一環として、2021年から導入していた。
来店客の行動変容を促すことを狙った実証実験として東京都内を中心に41店舗でこのリユースカップを展開していた。同社は、Re&Goは2026年1月23日に終了するが、店内で繰り返し使えるマグカップやグラス、タンブラーの利用は促進していく方針だ。
■国際NGO「事業者が参入しやすい制度設計が不可欠」
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京・港)でプラスチック問題を担当する大館弘昌氏は、「リユースカップの貸し出しサービスが終了したことは非常に残念だが、プラスチック汚染対策としてリユースシステムの推進が必須である事実は変わらない」と指摘した。
企業によるリユースへの継続的な投資が求められるとした一方で、「事業者が参入しやすい環境を作るための制度設計も不可欠だ」と強調した。
日本政府はプラスチック資源循環戦略の数値目標の一つに、2035年までにプラスチック容器包装のリユース・リサイクルを100%にすることを掲げる。だが、リユースの推進は遅れを取る。加えて、同目標では、CO2を排出するサーマルリサイクルも含んでいる。
■欧州では30年から飲食店内での使い捨てプラの使用を禁止に
■高度な資源循環に経済的なインセンティブ求める
■資源循環に取り組まない企業が利する状況も
■プラスチックのマテリアルリサイクルはわずか6%
■キリン役員「努力する企業が報われる社会へ」

