欧州CSDDD、「グローバルスタンダード化」も

記事のポイント


  1. 欧州議会は4月、企業持続可能性デューデリジェンス指令案(CSDDD)を採択
  2. 環境や人権への負の影響を予防・是正するデューデリジェンスを義務化した
  3. 環境・人権へのDDが「グローバルスタンダード化」することもある

欧州議会は4月、企業持続可能性デューデリジェンス指令案(CSDDD)を採択し、環境や人権への負の影響を予防・是正するデューデリジェンス(DD)の義務化を決めた。適用対象の企業数が当初基準案から3割程度に減ったが、CSDDDが採択した意味は大きい。将来的に適用対象が増えたり、環境・人権へのDDがグローバルスタンダード化したりすることも見据えて、日本企業は備えておくべきだ。(オルタナ副編集長=池田 真隆)

欧州連合(EU)のフォン・デア・ライエン欧州委員長 ©APF/アフロ

CSDDDは、企業に環境・人権侵害に関する法的責任を規定したものだ。対象企業には、自社だけでなく、サプライチェーン全体で起きる可能性のある、環境・人権リスクを軽減・予防するためDDの実施を求めた。環境・人権リスクとは、「気候変動」や「生物多様性の損失」に加えて、「強制労働」や「奴隷制度」などを指す。

■「リスクなし」が大きなリスクに

DDの特徴は、「リスクベースアプロ―チ」で実施することだ。リスクベースとは、リスクが大きいものから取り組むことを意味する。企業はDDを実施する際に、できることから対応するのではなく、自社にとってリスクの大小を見極め、最もリスクの大きい領域から手を付けなければいけない。

具体的な手順はこうだ。まず、自社のポリシーを策定する。その後、環境・人権リスクを特定し、ポリシーに沿って優先順位付けを行う。

ここで気を付けたいのが、「ゼロリスクはない」ということだ。現時点で負の影響が顕在化していないから、「リスクがない」と判断することは適切ではない。

潜在的なリスクがあることを前提に、関連情報の収集、ステークホルダーや専門家への相談などを行い、プロアクティブな姿勢で、DDプロセスを継続して実施することが重要だ。

環境への負の影響は、人権への負の影響にもつながっている。環境への負の影響と人権への負の影響は、一貫性のある方針で対処することで、より効果的なDDの実施につながる。

優先順位付けができたら、リスクの予防・緩和策に取り組み、実際にリスクが生じた場合は対応するという流れだ。

リスクの特定・軽減には、利害関係者との対話(エンゲージメント)が重要だ。対話することで、利害関係者が報復を受けることがないように対応する。

第3者に開かれた「苦情処理メカニズム」を構築する必要もある。情報提供者の個人情報を守り、適切な段階で経営者と協議する権利などを与える。

パリ協定で定めた「1.5℃目標」と整合した移行計画も策定し、DDの実施状況などを1年ごとにモニタリングし、対外的にその結果を報告しなければいけない。

これらのことが対象企業に課した主な義務だ。違反した企業には、制裁金を定めた。制裁金は、対象企業の全世界の売上高の最大5%が上限だ。

OECD「責任ある企業行動のためのOECDデュー・ ディリジェンス・ガイダンス」を基に編集部で作成

■5千人超企業は27年に適用始まる
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DDの有無、投資条件にも

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M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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