暑い夏、キリンの「熱いCSV」【CSRフロンティア】

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原田 勝広(明治学院大学教授)

暑い夏が近づき、ビールがうまい。ググーッと一杯やったところで、気になっていたことを思い出してしまった。

キリンが2013 年1月に発足させたCSV本部のことだ。

CSV とはCreating Shared Value(共有価値の創出)で、競争戦略論の第一人者、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が2011 年に提唱した新たなコンセプト。これまで対立しているとされてきた社会的価値と経済的価値は、実はトレードオフの関係ではなく、両立できる。そこにこそ企業にとってのビジネスチャンスがあるという考え方で、いまCSR 関係者の間で密かに注目されている。

それにしてもCSRがようやく根付いてきたという時代にあって、評価が必ずしも定まったとは言い難いCSVを、そのまま組織の名前にしてしまうとは。大変な英断と驚いてしまった。

なぜ、そういうことになったのだろう。また、そもそもCSRとはどう違うのか、社内の調整には苦労しなかったのか、といった具合に次から次に疑問がわいてきた。こうなったら、ジャーナリスト時代を思い出して、直撃取材しかない。そう決意して東京・中野にある本社を訪ねた。

トップ主導から始まったCSV

インタビューに応じていただいたのは、CSV 本部CSV推進部企画担当兼ブランド戦略部企画担当の太田健主幹。

まず、驚いたのは情報の早さである。キリンは2010年にポーター賞を受賞したが、その時点で、当時の松沢幸一社長が「ポーター教授は、CSRの次はCSVと言っているよ」と担当部署に準備させていたというのだ。言ってみれば、トップ主導。普通、下から積み上げたものを、上に説明し、納得してもらうことが多いのが日本の企業だが、これだと時間ばかりかかって実現は困難を極める。やはりスピード感のある改革はこうしたスタイルでは無理だ。キリンの強さは、トップの感度のよさで、これは、磯崎功典現社長にも受け継がれ、CSV 本部発足につながったのである。

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2014年7月8日(火)9:41

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