3つのCSVを統合して市場をつくる【世界を変えるCSV戦略】

水上武彦
株式会社クレアン
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水上 武彦(株式会社クレアン)

CSVには、「製品・サービスのCSV」、「バリューチェーンのCSV」、「ビジネス環境のCSV」の3つがあります。なお、「ビジネス環境のCSV」は、「クラスターのCSV」とも言いますが、グローバルなルールメイキングなども含むため、特定の地域での活動を表すクラスターよりも広い意味を持つ言葉の方が良いと思い、最近は、「ビジネス環境のCSV」を使っています。

これら3つのCSV ついては、社会問題を解決する製品・サービスの提供、調達-物流-生産-販売および人材管理などのバリューチェーンにおける社会価値創造を通じた競争力強化、事業展開地域の発展支援などのビジネス環境整備による自社競争力の向上として、それぞれ個別の活動として考えられがちです。

しかし、CSV事業を展開するときは、「製品・サービス」「バリューチェーン」「ビジネス環境」の3つを組み合わせるとより効果的です。「製品・サービス」だけでなく、それを作り出すプロセスの総体である「バリューチェーン」、製品・サービスを受け入れる市場を形成する「ビジネス環境」がなければ、事業は成り立ちません。これらをCSVの視点で統合的に形成することを検討すべきです。

■テトラパックの統合的CSV
テトラパックは、スウェーデンに本社を置く、常温長期保存が可能な食品・飲料用紙容器の充填包装システムを世界中で展開する企業です。日本でも乳業や飲料企業に供給した容器システムが、年間数十億個の容器を生産しています。

テトラパックは、「容器はそれにかかるコスト以上のメリットを社会に還元しなくてはならない」という創業者の言葉を行動指針として事業を推進しており、その紙容器は、環境面で優れる製品・サービスのCSVとなっています。

例えば、ガラス瓶容器とテトラパックの紙容器を比較した場合、廃棄や輸送に関わる環境負荷は、紙容器のほうが圧倒的に小さくなります。ガラス瓶容器で飲料を輸送した場合、重量の半分が瓶ですが、テトラパックなら容器重量はわずか数パーセントとなります。また、円柱形の瓶に比べ角柱形テトラパックは、輸送時にスペースを無駄にせずに済みます。

さらには、テトラパックは、冷蔵せずに新鮮な状態を長期間保つことが可能なため、低温流通を行う必要がなく、冷蔵に関わる環境負荷も削減できます。

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水上武彦
株式会社クレアン
東京工業大学・大学院、ハーバード大学ケネディースクール卒業。旧運輸省航空局で、日米航空交渉、航空規制緩和などを担当した後、アーサー・D・リトルを経てクレアンに参画。CSR/サステナビリティのコンサルティングを主業務とする。ブログ「CSV/ シェアード・バリュー経営論」共著『CSV 経営』(NTT 出版)

2015年6月3日(水)20:04

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