“Shared Value”の意味【世界を変えるCSV戦略】

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水上 武彦(株式会社クレアン)

CSV(Creating Shared Value)は、「共通価値の創造」と訳さるケースが多いようです。CSVを最初に言い始めたネスレが、日本語訳として「共通価値の創造」を使っているためだと思います。
 
私は、最近はCSVが定着してきたこともあり、あまり日本語で表現することはないのですが、「共有価値の創造」という訳を使っています。一つの戦略・活動が社会価値と企業価値の両方を生み出すのが“Shared Value”です。

社会と企業に共通の価値を生み出すというよりは、社会価値と企業価値という異なる価値を一つの戦略・活動をもって共有する、というニュアンスのほうがしっくりくるため、「共有価値」としています。
 
逆に、「共有価値の創造」は、社会価値と企業価値という複数の価値を生み出すため、Creating Shared “Values”と訳したくなるところです。しかし、「価値」を意味する“Value”は不可算名詞のため、複数の価値を生み出すとしてもCreating Shared “Value”です。なお、“Values”とした場合は、「価値観」の意味になります。
 
マッキンゼーが「エクセレント・カンパニー」の成功要因として示した7Sに、「共通の『価値観』」があります。これは、日本語の書籍などでは、“Shared Value”と表記されていることが多いのですが、これは誤りで、正確には“Shared Values”です。

なお、7Sは、ソフトの4S:Shared Values、Style(経営スタイル・社風)、Staff(人材)、Skill(スキル・能力)、ハードの3S:Strategy(戦略)、Structure(組織構造)、System(システム)からなるフレームワークです。優れた企業では、これら7Sが互いに補完し合い、強め合いながら戦略を実行しています。

Shared Values は、ミッション、ビジョンなど、企業などの組織が共有すべき存在意義や目指す姿を総称したものであり、組織の最も基本的な要素です。7Sを図で表すときには、中心に位置付けられています。

■CSVではなく、“Shared Value”を使う意味

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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