子どもへの「防災」、紙芝居で伝えるPR

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大震災はいつどこで起こるか分からない。まだ言葉もおぼつかない未就学児には、「自分の身を守るための知恵」をどう伝えたら良いのだろうか。その一つの解として、無償で保育園や幼稚園に防災紙芝居を配布するのが公益財団法人ベネッセこども基金(東京・新宿)だ。ベネッセこども基金は、株式会社ベネッセホールディングスが設立した財団で、ベネッセグループが東日本大震災以来継続的に取り組んできた防災教育の知見が活用されている。(オルタナ編集委員・瀬戸内 千代)

東日本大震災は、多くの子どもたちが学校にいる14時46分に発生した。避難訓練では、授業中の地震を想定して防災頭巾をかぶったり机の下に入ったりするが、揺れが襲ってきた瞬間に全員が机のそばにいるとは限らない。

文部科学省が東日本大震災の教訓を踏まえてまとめた「学校防災マニュアル(地震・津波災害)作成の手引き」には、地震発生直後は「上からものが落ちてこない」場所に、素早く身を寄せて安全を確保すること、揺れがおさまったら「より安全な場所に素早く移動」することが記されている。

小学生になれば、ある程度の自己判断も可能かもしれないが、園児たちには難しそうだ。

「机を探して動いたら、かえって危ない場合もあります。大切なのは、何よりもまず、頭を守ること。子どもたちが信頼する先生の読み聞かせで、就学前のお子さんたちに伝えてもらえたら、という思いで紙芝居にしました」

こう話すのは、ベネッセこども基金の龍千恵事務局長だ。同財団は2016年2月、防災教育紙芝居「じしんのときの おやくそく」を制作。希望する全国の公私立保育園・幼稚園約6200園に無償で配布した。地域の防災教育に携わる消防士からも申し込みがあったという。

■「あおにんじゃ」で身を守る

「あおにんじゃ」のポーズをとる「えきまえこども園・凛」の子どもたち

「あおにんじゃ」で身を守る紙芝居には、頭、お口、忍者の頭文字をとった「あおにんじゃ」が登場する。青い忍者衣装のかわいらしいリスだ。青忍者は、「だんごむしのポーズ」で頭を守り、先生の指示が聞こえるように「お口にチャック」をして、慌てず慎重に「忍者歩き」で避難する。

文を執筆した元幼稚園教諭で作家のわたなべももさんは、「従来は、押さない、駆けない、しゃべらないの3つで『おかし』でしたが、東日本大震災の津波があって、駆けないとは言えなくなりました。そこで制作チームで話し合って新しい3つの基本動作が決まり、そこから生まれたのが『あおにんじゃ』です」と語る。

物が散乱している足元に注意しつつ「そろりそろり」と移動する忍者の姿は、小さな子どもにもイメージしやすい。紙芝居の裏側には、半分だけ引き抜く、ガタガタ揺らす、物が落下する場面で紙芝居を倒すなど、演出のヒントも書き込まれている。

「真剣なお話だよ、と伝える工夫です。子どもたちが緊張感を持って聞いてくれます。先生たちは読み聞かせが上手なので、セリフを多くしました。3つのポーズをやってみようと促す参加型の紙芝居です」(わたなべさん)

実際に毎月の避難訓練で、この紙芝居を活用している「えきまえこども園・凛」(長崎市)の宮崎真弓園長に話を聞いた。

「子どもたちは楽しみながらポーズをとっています。回を重ねるごとに認識が高まってきているのを感じます。地震に特化した紙芝居はなかったので、この取り組みに感動しました」

同園の園児は0歳から3歳と小さいが、まだストーリーを追えない子も、年長の子たちの反応を間近に見て真似しているという。動きを伴う3つの「おやくそく」は未就学児にも覚えやすく、いざという時に役立ちそうだ。

■子どもの力を信じる

ベネッセこども基金・龍千恵事務局長

「子ども一人ひとりの能力を信じて伸ばすのは、ベネッセグループ全体の共通理念。ベネッセこども基金も、『子どもが自分自身を守る力を育てる』をコンセプトにさまざまな『子どもの安全を守る活動」に取り組んでいます」(龍事務局長)

紙芝居のベースは、ベネッセコーポレーションの未就学児向け教材「こどもちゃれんじ」が25周年記念に発売した復興支援チャリティ絵本だ。こどもちゃれんじのキャラクター「しまじろう」を主人公に据え、子どもの発達段階に応じた表現など、長年培ってきたノウハウを駆使して、2013年に完成。数量限定で販売して収益全額を被災地の遊び場づくり支援に寄付した。

絵本の販売終了に伴い、ベネッセこども基金がお話を無償で譲り受け、幼児教育の現場で活用できる防災紙芝居に変身させた。

「絵本では3つまとめて紹介していたポーズも、1つずつ、めくって紹介するようにしました。子どもたちの分身であるしまじろうが語るからこそ、感情移入してもらえる効果的な紙芝居になりました。地震の時は『あおにんじゃ』。お迎えくるまで待っててね。この合言葉だけ覚えておけば大丈夫、心配いらないよ、と伝えたいです」(わたなべさん)

子どもをむやみに怖がらせることなく防災意識を高めたいというのが、制作者たちの想いだ。

わたなべさんは、紙芝居の最後に「みんな げんきで、ほんとうに よかったね」と書いた。大切な子どもたちの毎日が明るく無事であるように、という温かい願いが、この1行に凝縮している。

◆「じしんのときの おやくそく」、今年も申し込み受付中!

防災教育紙芝居「じしんのときのおやくそく」

ベネッセこども基金は2017年も防災教育紙芝居「じしんのときのおやくそく」を全国の保育園、幼稚園に無償でお届けする活動を行っています。

・お知らせいただく情報:
保育園/幼稚園名 ・郵便番号・住所・電話番号

・お申込み先:
防災教育紙芝居「じしんのときの おやくそく」事務局
電話:0120-944-650(月~金10:00~17:00※祝日・年末年始除く)
FAX:0120-994-285

・お申込み期日:2017年4月末

詳細はベネッセこども基金のウェブサイトから

◆公益財団法人ベネッセこども基金

2014年10月31日、株式会社ベネッセホールディングスにより設立。2015年4月1日に公益財団法人に移行。「未来ある子どもたちが安心して自らの可能性を広げられる社会」の実現を目指し、子どもたちを取り巻く、社会的な課題の解決および多様な学びの機会提供に取り組む。

〒163-0416 東京都新宿区西新宿2-1-1新宿三井ビルディング
TEL:03-5320-3504
http://benesse-kodomokikin.or.jp

2017年3月31日(金)12:45

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