ゴールドマン・サックス、女性起業家をプロボノ支援

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ゴールドマン・サックス(以下、GS社)はこのほど、社会貢献活動「女性起業家支援プログラム」の一環として「社会的企業・NPOの「子育てと仕事の両立」に関するシンポジウムを開催しました。シンポジウムには、両立の取り組みに関心あるNPOや、企業・行政・メディアなど、50人以上が参加しました。(一般社団法人RCF=矢澤弘美)

■プロボノチームが3カ月伴走

ゴールドマン・サックスは、社会貢献活動として「女性起業家支援プログラム」に取り組む

2015年から、GS社は TOMODACHIイニシアチブと連携し、「女性起業家支援プログラム」をスタート。本プログラムにおいてRCFは、プログラム企画・運営等の事務局を担当しています。

2016年度のプログラムテーマは「子育てと仕事の両立」。社会的企業・NPOにとって経営陣・職員のスムーズな産休復帰、復帰後のフレキシブルな業務体制整備は事業継続・拡大のために重要な経営課題です。

ただ多くのNPOは事業運営で多忙であり、また周りに既に取り組んでいるモデル事例も少ないため、両立のビジョンや取り組み方をイメージしづらいのが実情です。

そこで2016年度は、社会的企業・NPOの「子育てと仕事の両立」に関するプログラムとして、特定非営利活動法人トイボックス(大阪府)、特定非営利活動法人かものはしプロジェクト(東京都) を支援先とし、GSプロボノ社員5名・1名のGSアドバイザー社員の計6名のプロボノチームが各支援先へ約3か月間伴走(9月末~12月末)。支援先の両立に関するビジョン・計画づくりおよび実施サポートを行いました。

GSプロボノ社員のチームは、お子さんがいる方・NPOと関わりあった方が多く、部署はリーガル、コンプライアンス、テクノロジー、法人営業、オペレーションズと様々な専門知識を有する方で構成されています。

■復帰に向けた体制を構築

世界の「子どもが売られる問題」をなくす活動を行うNPO法人かものはしプロジェクトは、村田早耶香共同代表とマネジャー2人が2016年に産育休を取得し、17年4月に復職予定です。

社内制度上は比較的フレキシブルであるものの、スタッフレベルでは子育て当事者は少数であり、復職する側も、復職者を迎える職場側も、「復帰した後に、仕事と育児の両立ができるのか?周りのスタッフも気持ちよく仕事できるのか?」という不安があった、と言います。

プログラムでは、まず日本職員に対するヒアリングを通じて課題を把握し、構造的に整理しました。

特に復帰に向けた体制づくりについて、産育休者の声も汲みつつ、社労士との規定整備の意見交換、産育休復帰者・受け入れる職場の心境についてGS社員の経験談の共有、GS社の両立施策を参考にした社内への両立周知・議論の場の設置企画検討といった、目標実現手段の検討と実行プランの策定を伴走推進しました。

■ 適切な行政サービスにつなげる

全国初の公設民営のフリースクールを運営する特定非営利活動法人トイボックスの白井智子代表理事は3児の母であり、ご自身や職員そして地域住民が、子どもの預け先が近隣に足りないという悩みを抱えていました。

また、全職員が安心して子育てしながら仕事を続けられる状況をつくりたい、男性職員も育休をとれるような文化を醸成していきたい、という課題感をお持ちでした。

プログラムでは、企業内保育所の設置、学童保育の事業化について行政制度のリサーチや地域住民へのヒアリング等ニーズ調査を実施。また、自団体の今後妊娠/出産予定職員の産育休取得可能な体制づくりとして、職員へのヒアリング等で両立に関する課題を整理・活用できる行政サービス(産育休取得支援の各種助成金・ベビー・シッター制度等)を調査・申請サポートを行いました。

その結果、企業内保育所設置・学童保育事業化についてトイボックス内の方針が整理され、また男性職員が社内で初めて育児休暇を取得・助成金も活用するに至りました。

また、プログラム中のGS社員が「いままでNPOは身近ではなかったが、トイボックスが関わっていた法案成立をみて、実は社会変革はNPOから始まっている、と気づいた」という言葉に泣きそうになった、といったエピソードも共有されました。

白井代表理事は、「『両立できる組織づくり』の必要性は社会的な共通認識となった一方、『自分の仕事』で両立支援をするとなると『当事者』以外の方からは理解を得ることは難しい場合もあることが大きな気づきだった」と言います。

白井代表理事は出産して育休したとき、経営者である自分が抜けて業務が回らなくなったそうです。やむを得ず、まだ1か月半で首ぐらぐらの新生児をかかえて職場に行ったことがあり、そこから、自分がいなくても業務がまわるように組織変革を進めていきました。

「当初、プログラムにフルコミットしていたのは自分だけだった。ただGSプロボノ社員の皆さんがやんわりと、かつ関わりやすい形で、共同代表や人事側スタッフをプログラムのコミュニケーションに引き込んでくれたことが、本当にありがたかった。両立できる職場づくりは、結果的にサステナブルな組織づくりとなる」(白井代表理事)

■職場と家庭で「権限移譲」が進む

パネルディスカッションでは、子育てと仕事の両立に取り組む重要性について議論された

パネルディスカッション「いま、子育てと仕事の両立に取り組む重要性」には、白井代表理事、特定非営利活動法人クロスフィールズの小沼大地代表理事(2児の父)、ゴールドマン・サックス証券株式会社の上田彰子社長室長兼人事部長長(2児の母)の3人がパネラーとして登壇しました。

2016年夏に1か月の育休を取得した小沼代表理事は、育休を取得した経緯について「新しいことをやってみたい、という思いがあった。NPO法人フローレンス代表理事の駒崎さんブログをみて、面白い!と思っていた。実際、駒崎さんの言う通り、育休を取ることで職場・家庭、ともに『権限移譲』が進んだ」と説明しました。

小沼代表理事は、第2子出産前、自分は育児に理解あるイクメンだと思っていましたが、育休を取ってみて、「そんなことはなかった」と痛感したそうです。

「家事の権限移譲を受けることで、家事の全体感を把握できた。職場では逆で、同僚たちが僕から権限委譲を受け、代表の業務の大変さがわかったと言われた。ちょっとしたジョブローテーションになった」(小沼代表理事)

上田部長は、「両立の取り組みは育児当事者だけの課題ではない。独身者やこどもがいない方など『全員』のための働き方改革であり、共通の課題にもっていくことがポイント。当初は、テレワークは子育て中の方が使うものだという認識だったが、社員がテレワークを体験する機会を設けたところ、仕事の生産性が高いということを感じてもらった」と話す。

小沼代表理事は、「両立の取り組みを『ゆるく』考えることも重要。私は育休中も毎日1〜2時間は仕事していた。育休中は『100%育児しなければいけない』と考えず、グラデーションつけて取り組んでいくのもいいのではないか。男性経営者の中で両立の取り組みが広がっていくことは重要」と期待を込めました。

■プロボノに参加したGS社員の声

プロボノに参加したゴールドマン・サックスの社員

かものはしプロジェクトのプロボノチームリーダーを務めた法務部の中井綾氏は、「NPOでは、親という立場を生かせる女性がたくさんいる。(共同代表の)村田さんは事業をされていて、かものはしの広告塔としても動いている。社会課題に対し、女性であることを生かしてイニシアチブをとっていくことが大事だと思う」と話しました。

トイボックス プロボノチームリーダーを務めたコア・コンプライアンス部の桜井かほる氏は「自分にも子どもがおり、両立は自分事でもある。ただでさえ育児は大変なのに、白井さんはNPOの代表理事という立場でさらに厳しいと思う。NPOの活動の結果、法律が変わったニュースを見て『変革の風はNPOから吹く』と感じた」と感想を述べました。

一般社団法人 RCF
2011年4月、震災復興のための調査を行う団体として発足。現在は復興事業の立案・関係者間の調整を担う「復興コーディネーター」集団として活動。代表理事は藤沢烈。活動例として、2015年度はいわて未来づくり機構を母体とする「いわて三陸 復興のかけ橋プロジェクト」を岩手県より受託し、岩手県内各地と県外企業・団体の復興支援マッチングを推進している。

2017年4月27日(木)16:41

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