元富士火災社長「私が環境NGOに転職した理由」

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ベテラン金融マンから国際環境NGOの日本支部代表へ――金融業界で40年以上のキャリアを積み富士火災海上保険社長などを務めた後、このほど国際環境NGO 350.orgの日本支部代表に就任した横山隆美氏が、その転身に込めた思いを寄稿した。

国際環境NGO 350.org日本支部代表に就任した横山隆美氏(写真提供:350.org)

■自然なキャリア・チェンジ

企業からNGOに転身する人は、日本ではまだ珍しいようだ。2017年末に富士火災海上保険社長(AIGグループ)を引退するまで25年にわたり損害保険会社の代表者を務めていた私が、なぜ国際環境NGOに参加することになったのか。

自分としては自然なキャリア・チェンジだと思っている。その理由は3つある。

まず、私は1970年代から水俣病や三重県四日市市の大気汚染など、公害や環境問題に興味を持っていた。それが、直接公害被害を出していなかった損害保険業界に就職した理由でもあった。レイチェル・カーソンの『沈黙の春』やアル・ゴアの『不都合な真実』、レスター・ブラウンの著作などを読み、地球温暖化がますます深刻になっていることを懸念していた。

二つ目の理由は、以前米国人の同僚から「企業人として3つの責任――仕事に対する責任、家族に対する責任、社会に対する責任――を果たさなければ一人前ではない」と言われたことだ。

仕事には相当のエネルギーを使ってきた自負がある。家族とのコミュニケーションも、充分だったとは言えないものの70点くらいは付けられると思っている。しかし社会への責任となると、30歳の時に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)への寄付を集めるチャリティ・コンサートを開催したこと、東日本大震災後に東北でボランティア活動に参加したことくらいだった。

引退後に時間ができて、やり残していた社会的責任を果たす活動をしようと考えた。その時読んだナオミ・クラインの『これが全てを変える』がきっかけで、昨年から国際的環境NGOである350.orgでボランティア活動に参加していた。

三つ目の理由は、ボランティア活動の中で、増収や増益を考えて仕事をする企業人とは違った、社会への貢献を軸にしなやかに活動する若者たちに会い強い印象を受けたことだ。ボランティアという立場ではなく、フルタイムでこの仲間たちと新しい世界で働いてみたいと思った。

■脱石炭の潮流を直視すべき

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2019年7月1日(月)12:51

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