最近、「気候正義」(クライメート・ジャスティス)という言葉を聞くことが増えた。気候変動を単なる「地球温暖化」と捉えるのではなく、途上国の生態系を破壊しがちなビジネス構造を見直し、そこに住む弱者の権利を保護するという人権的な視点を盛り込んだ言葉だ。(オルタナS編集長・池田 真隆)

英・バース大などはこのほど世界10カ国の若者調査の結果を発表した。それによると、75%が「未来が怖い」と回答した。その根底にあるのは、深刻化する気候変動への不安や政治不信だ。この調査でも、「若者たちの心理的苦痛は政府の取り組みと関係している」という記述で「気候正義」に言及した。

気候正義を理解することは、気候変動問題に声を挙げる若者を本質的に理解することにつながる。日本でも気候変動問題に声を挙げるミレニアル世代やZ世代は増えており、企業担当者にとって気候正義を正しく理解して環境活動に取り組まないと「SDGsウォッシュ」と指摘されてしまう恐れがある。

気候正義が生まれた背景には、先進国が大量のCO2を排出してきたが、その影響を真っ先に受けるのが途上国という不公平感もある。この対立構造は国だけでなく、世代間でも置き換えられる。

CO2を排出してきた過去・現在の「一部」の大人世代のツケを「将来世代全員」で払うことになる。こうした不公平な状況を「許せない」と思った若者たちが声を挙げているのだ。

ユニセフは821日、子どもの視点から気候危機を分析した報告書を発表した。その報告書では、「気候危機の影響を受けるリスクが最も高い33カ国の合計排出量は世界のCO2排出量のわずか9%」だった。

これに対して、「排出量が最も多い10カ国の合計排出量は、世界の排出量の約70%」だったという。その10カ国のうち、「気候危機の影響を受けるリスクが最も高い国」は1カ国だけだった。

 CO2は数十年から数百年は大気中に残るので、対応に迫られるのはまだ生まれていない世代だ。報告書は下記の通り結んだ。

 「気候変動は非常に不公平なものです。子どもに地球温暖化の責任はないにもかかわらず、最も犠牲を払うのは子どもたちです。最も責任のない国の子どもたちが最も苦しむことになります」