記事のポイント
- 気候正義と脱原発を訴える3つの団体が、「再エネ100%」を掲げて連携した
- 人権など他の社会問題に取り組む団体とも関係を築き、運動を加速させる
- 第一弾として、9月18日に東京・代々木公園で集会とパレードを行う
気候正義と脱原発を訴える3団体が7月24日、都内で合同記者会見を開いた。各団体はこれまで個別に活動してきたが、国内でも気候危機が顕在化する中、再エネ100%の公正な社会の一刻も早い実現に向けて連携を図っていく。第一弾として9月18日に東京・代々木公園でイベントを行い、さまざまな社会問題に関心を持つ2万人以上の参加を目指す。(オルタナ副編集長・長濱慎)
■脱原発にとどまらない多様な社会運動と連携を
会見を行ったのは「ワタシのミライ」、「Fridays For Future Tokyo」、「さようなら原発1000万人アクション」の3団体。9月18日(月・祝)に代々木公園で「ワタシのミライ〜No Nukes & No Fossil」(脱原発・脱化石燃料を)と題したイベントを行う。
公園内では気候正義や原発などの社会問題をテーマにしたトークや音楽ライブを行い、終了後に渋谷と原宿の2コースでパレードを行う。初の共同開催となった背景を「さようなら原発1000万人アクション」事務局の井上年弘さんはこう説明する。
「当団体は毎年9月に集会を行っており、今年は会場に代々木公園を押さえていた。しかし気候危機が喫緊の課題となり多くの人が苦しむ中、脱原発にとどまらないさまざまな社会運動や、若い世代を含む幅広い人々とコラボレーションする必要性を強く感じた」
「さようなら原発1000万人アクション」は、過去に16万人規模の脱原発集会を行ったこともある。同じく事務局の瀧秀樹さんは「2万人から3万人規模のイベントにしたい」と、意気込みを語った。
■「2030年までに脱炭素」では遅い
「ワタシのミライ」事務局で国際環境NGO FoE ジャパンの吉田明子さんは、運動を継続的かつ影響力あるものにするには多様な人々を巻き込む必要があるとして、こう語る。
「公園内では各団体のブース出展も予定しており、ジェンダー、LGBTQ、難民問題などに取り組む団体にも声をかけている。気候正義も脱原発も人権保護も、公正な社会を目指すという目的は共通している。今回のイベントを最初の一歩として、多様な市民運動と横断的に手を取り合って来年・再来年へつなげたい」
「Fridays For Future Tokyo」のオーガナイザーで大学生の川﨑彩子さんは、こう危機感を募らせる。
「クライメートクロック(気候時計)の残り時間が6年を切った。これはあと6年以内に地球の平均気温が1.5℃を超えてしまう可能性が高いことを示しており『2030年までに脱炭素』では遅い。この危機感を多くの人で共有し、秋から始まる次期(第7次)エネルギー基本計画の議論にも影響を与えるようなムーブメントにしたい」
今回の東京を皮切りに運動の全国展開を目指しており、すでに複数の都市で検討を始めているという。
3団体の概要は以下の通り。
・ワタシのミライ
再エネ100%の公正な社会を目指し、2022年に発足。2021年の第6次エネルギー基本計画改定に際し、政府に27万筆の署名を提出した「あと4年、未来を守れるのは今」キャンペーンを引き継ぐ。 FoE ジャパン、グリーンピース・ジャパン、Fridays For Future Japanなどが運営。
・Fridays For Future Tokyo
スウェーデンの環境活動家・グレタ・トゥーンベリの気候ストライキを受けて始まった、若者による世界的な気候正義運動。国内では今回の共催者に名を連ねる東京の他に、30地域以上で活動している。
・さようなら原発1000万人アクション
2011年の東京電力福島第一原発事故を受けて始まった市民運動。呼びかけ人は内橋克人、大江健三郎、落合恵子、鎌田慧、坂本龍一、澤地久枝、瀬戸内寂聴、辻井喬、鶴見俊輔の9人 。