ユナイテッドアローズ、売上高至上主義やめて「適量生産」へ

記事のポイント


  1. 大手アパレルのユナイテッドアローズは「売上高至上主義」からの脱却を図る
  2. 「適量生産」を掲げ、商品のプロパー消化率を高める販売方法に切り替える
  3. 丹智司・CSOは、「ニーズに合致しながらクオリティを上げていく」と話す

セレクトショップ大手のユナイテッドアローズは持続可能な成長を目指し、「売上高至上主義」からの脱却を図る。トレンドの移り変わりが早いアパレル産業は、大量生産・大量消費・大量廃棄を前提に拡大してきた。同社は、「適量生産」を掲げ、調達額を抑制しながら、商品の「プロパー消化率(定価販売比率)」を高める販売方法に切り替えた。丹智司・執行役員CSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー)にその戦略を聞いた。(聞き手・オルタナS編集長=池田 真隆)

適量生産を掲げた狙いを話す、ユナイテッドアローズの丹 智司・執行役員CSO

――今年5月に策定した長期ビジョンでは、「売上高拡大志向からの脱却」を宣言しました。

長期ビジョンとして、「美しい会社 ユナイテッドアローズ」を掲げました。このビジョンの達成に向けて重視しているのが、大量生産、大量消費を前提とした「売上高拡大志向」からの脱却です。

業容と顧客層を拡大していくことで生活文化のスタンダードの創造と長期ビジョンの達成を目指します。財務目標では、長期ビジョン最終年度(2033年3月期)に売上高2500億円(年平均成長率6.8%)、営業利益率250億円(売上高比10%)を目指します。

売上高の内訳としては、既存事業で1500億円、新規事業としてアパレル領域で400億円、アパレル派生型とアパレル以外の領域で250億円。以下、子会社のコーエンで250億円、台湾、中国を含む海外事業全体で100億円を見込んでいます。

大量生産・大量消費を前提にした生産のあり方は、従来から社内で改善しないといけないとの認識はありましたが、決め手になったのは、コロナ禍で経験した過剰在庫と上場以来初の赤字です。

アパレル商品は通常、半年~1年前から調達しますが、新型コロナのパンデミックは夢にも予測できない出来事でした。2020年4,5月の緊急事態宣言下では、自社単体で運営する300店舗のほぼ全店が休業しました。

倉庫がパンクするほどの過剰在庫になり、早期に値引き販売に踏み切りました。しかし、「巣ごもり」と言われたように多くの方がオン・オフともに外出を控える中、外出着を中心に販売している当社の売上は低迷し、2021年3月期の連結業績は売上高が前期比22.7%減の1217億円、営業損益が66億円の赤字でした。この経験が「適量生産」を掲げるきっかけでした。

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M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #ESG#脱炭素

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